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02.06
Sat
冬が来ても今年一月初旬まで暖かい日が続いた。初夏から秋に咲く花の残り咲き
があちこちに見られて嬉しかった。植物は季節に敏感だが中には暖冬に春が来た
かと勘違いしたのか、慌てて芽を出し花まで咲かせた奴もあった。

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ノゲシ キク科
2015年12月26日武蔵野市境南町で写す。以下同じ

漢字で野芥子。葉が芥子の葉に似ているから。苦菜とも云い、食べられる
らしい。字の通り苦いのだろうか。折ると白い乳液が出て食べるには勇気が
要りそう。
子供の頃ノゲシを「馬の砂糖」と呼んだ。馬の好物。昔、砂糖は子供の好物の
代名詞だった。食べ物が溢れかえる現今、死語となってしまった。
ノゲシは春から夏の花だが、かなり遅くまで咲いている。逞しい姿に似ず黄色い
花がきれいだ。

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センダングサ,。花と実 キク科

葉の形が栴檀の葉に似ているからというが、この辺の人は栴檀を見た人は少
ないと思う。栴檀は暖地の木だから。蛇足だが偉大な人の生い立ちを「栴檀は
双葉より香ばし」という諺があるというが日本で云う栴檀ではないそうだ。
この草の種には、まるでカブトムシの爪の様な鈎があって着物にくっつく。
草藪を駆け回りセンダングサの実を派手にくっつけて遊んだ子供の頃が懐かしい。

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タビラコ キク科

奇妙な名。俄には理解がいかない。田平子と書くという。田んぼの畦などに
多いからだろうか、“平”は葉の形で“子”は愛おしさを込めた接尾語だろうか。
葉は平らに円形に地面に拡がるロゼット状。
葉の付け根から花茎が立ち上がり黄色い花を数個付ける。
そこいらにあるから誰も見向きもしないが希少だったら高値がつくかも知れない。
春の七草の、仏の座はこのタビラコのことだという。食べられるらしい。

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ホトケノザ シソ科

仏の座。二枚の葉が茎を抱くように付き、仏様が座っている蓮の花の台座の
ようだからだという。
エフェメラルプラント、短命植物の類だろうか夏には消えて跡形もないが、
どうした事か日だまりで見つけた。可愛い姿と、花の色合いが栽培種には
ない微妙さだ。

冬のさなか、咲き残りの花を見るのは確かに嬉しい。だがこれらの花々の
“うらぶれ”感は拭い去れない。寒さに一生懸命に耐えている姿が愛おしい。
能「雲林院」が連想される。「雲林院」は有原業平と二条の妃の恋物語。
業平は、将来天皇妃にと大切に育てている藤原家の姫君をさらって駆け落ち
する。名は忘れたが近代の有名画家の作品に、この場面を描いた作品がある。
有名な作品らしく雑誌などでよく見かける。知っている人は多いと思う。
この場面を「雲林院」クセでは「降るは春雨か、落つるは涙かと、袖うち払い
裾を取り、しをしを、すごすごと、辿り辿りも迷い行く」と謡う。
まさに残り咲きの花の風情だ。

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降るは春雨か落つるは涙かと、、、暗闇の雨の中を彷徨う業平、二条の妃。

能「雲林院は」は前場に歌人、業平に相応しい、花を盗む事の是非を争う風流
談議。後場で王朝の恋愛をふくよかに見せる。通常は美女や花の精が舞う
優雅な舞、序ノ舞を殿上人姿の業平が優艶に舞う。殿上人は女性に準ずる。
能「雲林院」の詳しい解説はこちら
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