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03.12
Sat
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河津桜。バラ科 2016年2月26日伊豆河津町で写す。以下同じ。

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河津桜原木

大島桜と寒緋桜の自然交配雑種。60年ほど前に伊豆河津町で発見された。
二月の中旬に咲き初め三月初めには散り始める早咲きの桜。花が少し大きいのは大島桜
色が濃いのは寒緋桜の特性を受け継いでいるのだろうか。寒い時期の花は辺りが枯れ
葉色の景色の所為か陰気な風合いだが、河津桜は底向けに明るく美しい。
十数年前は河口の左岸から二、三百Mの並木だったが、今は上流に向かって両岸二、三
キロ遡っている。観光バス、車が溢れかえり臨時の駐車場も八時には満杯とか。
混雑を予想して金曜日に見に行った。帰り土曜日、河津の街から天城峠を遥かに越えて
も観光バス、車の列は続いていた。どこに停めるのだろう他人事ながら心配して苦笑が
出た。

日本人に桜ほど愛された花はないのでは。桜の下で花見の宴を開き、散る花に、ものの
命の儚さを見、行く春を惜しむ。菊と並び日本の国花でもある。
外国との友好の証に桜を贈る話をよく聞く。アメリカ、ワシントンD、C、のポトマック河畔の桜は取り分け有名だ。
日本人の桜好きは世界の人が知っているようだ。
中国の辺境、トルファンで土地の芸能を見た後、日本人の観光客と知ったのだろうか、
「さくらさくら」を土地の楽器で演奏してくれた。みんな泣いた。
インドでは全く違った。安宿に泊まって南京虫に喰われた苦い経験から、思い切って
高級ホテルに泊まった。ロビーピアでピアノの演奏があった。
リクエストを受け付けるという。「さくらさくら」をリクエストした。「さくらさくら」は知らないという。それなら知っている日本の歌でいい。日本の国歌でもいいとリクエストした。聞えて来たのは「北国の春」だった。それでも日本の国歌とおなじように有難かった。多分、ウイスキーを飲んでいたのだと思う。インドの人は人前では酒は飲まない。
街の食堂でビールを頼むとガイドさんが厨房に行ってコーヒーカップで持って来ると云った具合だ。ホテルのロビーは外国の客だけだったのだろう。

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大島桜(河津桜の片親)

以前見たのと感じが違っていたが地元の人が大島桜だと云っていたので。
大島桜は伊豆半島、伊豆半島に多く自生するそうだ。葉っぱは塩漬けにして桜餅に使う
甘党のお友達。

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寒緋桜(河津桜のもう一つの片親)2016年武蔵野市境で写す。

濃い緋色が美しい。他の桜にない色。ぱっと開かず半開きが残念。ぱっと開いたらその
艶やかさに外の桜は顔色無しだろう。嫉妬を買わず程々でいいか。
中国南部、台湾が原産らしい。沖縄でよく見かけた。緋寒桜が本来の名前だそうだ。
彼岸桜と混同しない様にとの名らしい。
近くの公園に咲く。毎年、蕾が膨らむのを楽しみにしている。今年は所用続きで
うっかり忘れていた。慌てて駆けつけたら超満開だった。
超満開を能「鞍馬天狗」では「咲も残らず、散りも始めず」と謡う。古歌らしいが巧く
言い得たものだと低頭。

能は予備知識が少々なければ理解が難しい曲が多い。尤も能は理解するというより感じ
るものだともいうが。
能、鞍馬天狗は難しい事柄が全くなく万人が楽しめる能。
前場に天狗の化身の山伏と少年、牛若丸のほのぼのとした交情を描き後場では凛々しい
牛若と壮大なパワーを漲らせた鞍馬の大天狗を見せる。

鞍馬山、西谷の寺に山伏が忽然と現れ花見の会があるらしいから来たという。
鞍馬寺、東谷の僧のもとに西谷から桜が満開と知らせが届く。
「花咲かば、告げんと言いし山里の、使いは来たり馬に鞍」東谷の僧は早速、稚児たち
を引き連れ西谷を訪れ花見の会をする。居並ぶ稚児たちの仕草が可愛い。能楽師の子弟
は歩き初めを待って、この花見の稚児の役で初舞台を踏む。
間狂言が小舞を舞い、賑やかな座に山伏が闖入する。
座を荒らされた僧一行は花見を中断して帰っていくが稚児一人が居残る。牛若丸、後の
源義経だ。貴賤、親疎の隔てがないのが花見だと山伏は云い共に花を見、月を愛でるの
が真の友であると牛若が云って山伏を誘い共に花を眺める。
「御物笑いの種蒔くや、言の葉繁き恋草の」山伏は牛若に恋心を抱く。
中世、上流階級や僧侶の間では少年を愛する風習が珍しくなかったという。牛若は山伏
の問いに我が身の不遇を語り山伏は牛若を慰めようと愛宕、高尾など、花の名所を案内
する。牛若が山伏の素性を聞く。「この山に年経て住む大天狗」と明し平家討伐の兵法を
授けよう、また明日会おうと雲に乗って飛び去っていく。
牛若は武装を整え夕暮れの鞍馬山に天狗を待つ。やがて物々しい楽が聞こえ大天狗が
諸国の天狗を引き連れ現れる。天狗は唐土の張良、黄石公の故事を引いて堪忍の心を
教え、兵法の秘術を伝え平家との合戦の助力を約して夕影暗い鞍馬の空に消えて行く。
天狗の兵法伝授は子方の長刀で舞う「舞働」で示され、大きな天狗の羽団扇を振るって
舞い天狗の威勢を見せて止める。
能「鞍馬天狗」の詳しい解説はこちら

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