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05.21
Sat
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大平高原から望む富士山。2016年4月29日写す。以下同じ。

大平高原は塩山市の国道140号線沿いにある三富温泉手前の山道を上がった所にある。
高原のほとんどが牧場跡。今は荒れ果てた草原。地元の人の話では富士絶景五指に入るそうだ。道は細く悪路。

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フデリンドウ リンドウ科

草丈五センチ程。透き通るような空色。不思議なほど可愛いのは、清らかな野の空気を吸ったからに違いない。群生していた。二本頂いてきた。ところが水をあげるのを忘れていた。翌日気が付いたがすでに萎びていた。諦めかけたが急いで水苔に包み水を含ませた。生き返った。野草は強い。フデリンドウは越年草。実になったら故郷に連れて行こうと思う。

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ウワミズザクラ バラ科

動物の尻尾のように穂状に咲く花は草本ではよく見るが木本では珍しいように思う。純白で清潔感あふれていていい。
不思議な名前だ。漢字で上溝桜。昔、亀甲占いでこの木の材の上面に溝を彫って使ったとあるが何のことだかさっぱり解らない。占いに使ったとだけ覚えて置くことにした。
蕾や若い実は塩づけにして食べるという。山里の珍味だろうか、食べたことはない。
熟した黒い実を果実酒にしたがさほど美味くなかった。

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サクラソウ サクラソウ科

日本の野山に咲くサクラソウを知らない人は多い。花屋にあるのはほとんど西洋サクラ草。
昔は川や池、田んぼの周りにふんだんに見られた。今では絶滅危惧種に指定されてもおかしくない。昔は荒川土手が名所だった。江戸時代、結構な造りの重箱に結構な肴を詰めて船で荒川を遡りサクラ草の花見としゃれ込んだそうだ。
江戸の武士は荒川土手の遠駆で珍しい色、形のサクラ草を持ち帰り交配して色々な品種を作り出したという。今でもその伝統は伝わり数百種に及ぶという。五月、花の頃、小さな東屋を建て自慢のサクラ草を飾る。

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ハシリドコロ ナス科

暗紫色の花は何となく気味悪い。毒草の先入観があるからだろうか。妖しげな魅力も感ずる。食べると錯乱して走り回るそうだ。それ故ハシリだろうか。トコロは山芋のような根茎を持つトコロ(野老)に似た根を持つから。
昔の話だが尾瀬から銀山湖に抜け、辺の小屋に泊まった。小屋の主人の話。渓流釣りの二人が美味そうに見えたハシリドコロの若芽を食べた。一人は川上に一人は川下に走った。
翌朝発見された時、川上に走った一人は素っ裸だったそうだ。河原の岩石が美人に見えたと云ったそうだ。本当らしからぬ話しだがハシリドコロの話として面白い。この話は事故だが今では自ら好んで薬物で狂乱を求める人がいて社会問題となっている。能では色々な理由で狂乱となった人を題材にした作品群がある。狂乱となった背景を展開させて面白い。能「蝉丸」は唯一、生来の狂人を描いた作品。

能「蝉丸」は一風変わった作品だ。延喜の治で知られた名君、醍醐天皇の皇女と皇子姉弟の物語。皇女の名は逆髪。生来の狂人で遠国をさまよい歩く。空に向かって逆立つ髪を子供達が笑う。逆髪は子供達に云う。下賎の身で皇女の私を笑うとは逆さまではないか。しかし逆さまは世の常だ。花の種は地下から芽を出し空中高くに至って花咲き実になる。月は空高くにあるが、水の底に映っているのもまた月だ。どれが順であり逆であるとは一概にはいえないとこう云うのだ。物の本質についての事だろうが、思い合わせて、人は心の持ちようで、いかようにも変わるものだとつくづく考えさせられる。
放浪のさまを舞う道行きが見どころだ。クセは元々居グセであったが後に舞クセに作ったと云うが見応えのあるクセだ。
逆髪の弟、蝉丸は生まれながらの盲目。父帝の命によって逢坂山に捨てられる。勅命を受けた廷臣は堯舜にも例えられる程の帝が我が子を山野に捨て置くとはと嘆く。蝉丸は父、帝が自分を山野に捨てるのは前世の行いがよくなく、この世でその償いをして後世の安楽を願う父の慈悲なのだと廷臣をたしなめる。世を達観した姿、皇子の気品が滲み出て胸を打つ。
逆境の二人の別れは哀切だ。逆髪はさまよい歩きでも何か慰みはあるが、盲目ゆえ一所止まざるを得ない蝉丸を気遣い去っていく。蝉丸は小屋の竹の柱に縋り見えぬ目で見送る。
能「蝉丸」の詳しい解説はこちら
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