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03.01
Sat

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梅 バラ科、櫻属 中国原産
  

万葉の昔から櫻とならんで日本人に最も愛された花。おおかたの植物が活動を停止、眠っている早春、葉に先だってく。白、赤、ピンク、一重、八重。陰気な冬の名残の景色を彩る。何と言ってもその香りだ。昔から詩歌に詠まれ家紋にも名を残す。
果実は梅干し、ジャム、梅酒など用途は広い。好き者は酒の肴に塩をつけて生食するが多食すると危ない。青酸系の毒を含んでいる。
バラ科の梅の仲間には名だたる果物が多い。りんご、梨、いちご、さくらんぼ、カリン。などなど。
梅は好文木の美称をもつ。好文木抄「帝、文を好み給いければ開き、学問怠り給へば散りしおれける梅は有りける。好文木とぞいひける」とあるそうだ。梅の名所、水戸の偕楽園の中に好文木亭という土産物屋がある。
バラ科には目立つ特徴がある。根本や幹から太く長い新芽を伸ばす。大げさだが、まるで虚空を突き刺す如くに。梅や桜バラなどに顕著だ。通称「シュウー」とよぶ。シュウーと伸びるからだろうか?このシュウーが出なくなるとこの木は間もなくご臨終だ。「春雨に二尺伸びたるバラの芽のハリ柔らかに春雨の降る」この新芽を詠んだ句だ。古い記憶なので大いにあやしいが。
能に梅を主題にした作品に「胡蝶」「東北」がある。
「胡蝶」は蝶の精が主役。蝶は梅の花の頃はまだ,さなぎで冬眠中だ。梅の花に縁がない身の上を悲しむ蝶の精を、僧が法力で梅の花と縁を結ばせるという清らかな童話風の作品。クセ(曲の中心部)に源氏物語の一場面を取り入れ薫り高いく、キリには梅の花に舞い戯れる蝶の舞い姿が美しい。
「東北」は梅の香をつてに、王朝の香気を香らせる幽玄能の代表作だ。
象徴的、抽象的な型(振り付け)に終始して、そのものを表す具体的、具象的な型は少なく極めて能的な作品だ。
シテ(主人公)は和泉式部。平安を代表する歌人の一人で、あまたの浮き名を流した人としても有名だ。
こうした和泉式部のイメージを払拭して梅の花のように清楚な作品に仕立てている。
わずかに、キリ(終曲部)に「げにや色に染み香に愛でし昔を思い出ずれば我ながら懐かしく」(色恋になじんだ昔が懐かしい)と謡うが何か取って付けた感がしないでもない。詳しい解説は『曲目の解説」をご覧ください。
和泉式部の逸話を一つ。
藤原保昌(平安中期の武士。源頼光の家来とも)と結婚した式部は、一時、保昌に疎まれたことがあった。式部は貴船神社に参籠して夫婦和合の祭りを巫女に頼んだ。巫女は式部に着物の前を掻き上げ鼓を打ち鳴らし踊り狂うよう命じた。あまりの卑猥さと恥ずかしさに「千早ふる神の見る目も恥ずかしや、身を思うとて身をば捨つべき」(歌意―。思い悩むからといって我が身を捨てることはできない。)と詠んだ。
この様子を木の陰で見ていた保昌は「私ならここにいるよ」と躍り出、式部を連れて帰った。保昌の愛はさらに深くなったと云う。

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