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03.09
Sun

節分草

カテゴリ:節分草
節分草
キンポウゲ科 本州、関東以西の林、草原に。石灰岩地帯を好む

派手な花を咲かせるキンポウゲ科のなかで、楚々と可憐な姿が魅力的だ。
10センチほどの花茎の頂上に1センチほどの花を1個咲かせる。花のすぐ下に切れ込みの深い葉が2枚リング状につき、まるでフリルかネックレスのよう。貴婦人の装いだ。この花に憧れる人は多く、寒さの中も厭わず野山を駆け回り探す。
しかし堀り取るのはたいへん。
地中深く、小指の半分くらいの塊茎から木綿糸のような細い茎を伸ばす。
堀りあげる途中切れてしまったらもう見つからない。花は早春、節分の頃咲くので節分草。エフェメラルプラント(短命植物)の仲間だ。カゲロウのように儚い命の植物という意味だそうだ。
初夏、他の草の葉が茂り出すと、葉や花茎は枯れ始め、土の中に塊茎を残し来年を待つ。
「能」には我が身の儚さ、命の儚さをカゲロウや水の泡、露に例えて嘆く人たちが多く登場する。中でも「藤戸」の主人公は深刻だ。「藤戸」は源平の戦いに巻き込まれて殺された若い漁師の物語。
「源氏方は藤戸(岡山県倉敷市)に、平家は児島に陣を張ったが間の水路が深く源氏方は攻められなかった。
源氏方の佐々木盛綱は所の漁師から馬で渡れる浅瀬を聞き出すがこの漁師がまた他に教えるのではと、漁師を殺す。盛綱はこの浅瀬を利して先陣を果たしその褒美に児島を賜った。」前場と後場とあり前場では殺された男の母親の嘆きを描く。
母親は支配者の盛綱に「我が子返させ給えや」と迫る、圧巻だ。いつの世でも母親は強い。加害者である盛綱はこうなったのも「前世の報いだ」と母親を説得する。今の私たちには理解できないが、当時の宗教観だ。
後場は殺された男が幽鬼となって現れ「泡沫の哀れに消えし露の身の」と述懐し、殺された場面を再現して見せる。
竹の杖を刀に擬し刺し殺す場面はリアルにして過激的な迫力だ。
人とは何?考えさせられる名作。 
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