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09.17
Sat
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車山から望む白樺湖 2016年8月12日車山で写す。以下同じ

遠来の客とキープ牧場でアイスクリームを食べチーズ作り体験などしても時間があったので気に入っている車山に案内した。キープ牧場は前回紹介したので省かせて頂く。キープ牧場から車で一時間程、長野県諏訪湖や美ヶ原が近い。ここは標高1900M、白樺湖を眼下に、遠く中央アルプス、北アルプスまでも遠望できる絶景の地。色々の花に出会った。

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フウロソウ フウロソウ科
フウロソウは種類が色々で素人には見分けがつかない。フウロソウで勘弁して頂く。漢字で風露草。名は体を表す、の言葉通り雅な名がぴったり。ゲンノショウコの仲間。ゲンノショウコは整腸剤。“現の証拠”の名の通りピタリと効く。フウロソウも整腸剤になるかどうかは知らないが多分効くかも知れない。仲間だから。
昔は軽い風邪やお腹を壊した時、切り傷など軽い怪我も民間薬で直した。ゲンノショウコ、ネズミモチ、キンミズヒキやドクダミ、オオバコなどが活躍した。これらの薬草を煎じる土瓶が、祖母の家の火鉢の横にいつも置いてあった。底が炭火で焼かれて白く変色していた。

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ヤナギラン アカバナ科
ランと云ってもランには縁もゆかりもない赤の他人。花が華やか、鮮やかでランの名が付いたらしい。開けた草原に群生する景色は壮観。繁殖力旺盛だが、木や草が大きくなりお日様を遮ると消えるそうだ。きれいだからと頂いて庭や鉢に植えても根付かない。念のため。

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マルバダケブキ キク科
風情の乏しい大柄の葉や茎だが、これほど美しい花を咲かせるとは驚きだ。神様も時には悪戯心が出るのだろうか。清少納言だったら何と書くだろう。
丸葉岳蕗と書くが花も葉の出かたも全く蕗とは違う。蕗と云うから若芽は食べられるかも知れないが試したことはない。

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ヒヨドリバナ キク科
地味な花だが草原で目立つ花。写真はヨツバヒヨドリかも知れない。フジバカマにそっくり、見分けがつかない。フジバカマは野生化しているが中国渡来だそうで平安の貴族たちが好んだという。貴族好みの花の仲間ならば見直さなくては。

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ハンゴンソウ キク科
反魂草とは、あの世から死者の魂をこの世に呼び寄せると云うのだから気味が悪い。名は気味悪いが花は文句なくきれいだ。名前の由来は分からない。高地や寒い地方に育つ花だから寒い地方の人達が先祖の魂を呼び寄せるために焚いたのだろうか。
昔、中国ではインド香の反魂香をたいて魂を呼び寄せたそうだ。
 白氏文集に、前漢の孝武帝が早世した寵愛の李夫人の肖像を寝殿の壁に描かせ、反魂香を焚いて夫人の魂を呼び寄せたとあるそうだ。能「花筐」にこれを作った「李夫人の曲舞」がある。

能、花筐。「越前の国の片田舎に住んでいた大迹辺(おおあとめ)の皇子はにわかに帝位につくことになり急遽都に上る。別れを惜しむ暇もないまま皇子は寵愛していた照日の前に、愛用の花筐(花籠)を残す。照日の前は想いのあまり心が乱れ、花筐を携え遥かな都に皇子を求めて迷い上る。皇子は即位して継体天皇となり紅葉狩の行幸をする。行幸の前に迷い出た照日の前は廷臣に咎められ、花筐を打ち落とされる。皇子に賜った花筐、照日は抗議の「狂い」を舞う。強烈な抗議の舞だ。続いて、人を恋うるということを「李夫人の曲舞」に寄せて、訴え舞う。 
「夜更け人静まり風すさまじく月、明なるに、それかと思う面影のあるか、なきかにかげろえば、なおいや増しの思い草。葉末に結ぶ白露の、手のもたまらで程もなくただ徒に消えぬれば」
武帝の李夫人への深い思慕、静寂な夜更け、あるかなきかに浮かび上がる夫人の魂の面影をわずかな型で描き出す、息を飲む緊張だ。

「花筐」は魂を呼び寄せるのだが能「楊貴妃」では魂のありかをこちらから訪ねる。
能「楊貴妃」は玄宗皇帝と楊貴妃の物語。楊貴妃は不慮の死後、蓬莱宮にあって玄宗との愛の日々を偲び涙して日を送っている。玄宗は貴妃を忘れられず仙術を使う方士に魂のありかを訪ねさせる。白楽天の長恨歌をもとにしたクセが見どころ、聞きどころだ。
楊貴妃は非業の死を遂げたが、玄宗への恨みは全く語られず、ひたすら玄宗との愛の日々のみを謳いあげる。古今東西一の美女、世界の帝王の妃の物語。重厚にして優艶、憂愁、重量感ある名作。
楊貴妃は貴妃と云う絶大な権力を手中にしながら権力には一切手を出さず玄宗との愛のみに生きた。前王の妃の事件を教訓にしたこともあっただろうが、万事につけ賢い人だったという。歌舞にも長じたという。美人の条件は美しいだけではないという見本だろうか。

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「それかと思う面影のあるか、なきかに影ろえば」李夫人の曲舞を舞う照日の前

楊貴妃
方士の来訪に玄宗皇帝を偲び涙する楊貴妃
能「花筐」の詳しい解説はこちら。「楊貴妃」はこちら

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