FC2ブログ
10.21
Fri
IMG_3336.jpg
戦場ヶ原 2016年10月1日写す。以下同じ

戦場ヶ原は今まで素通りだった。八月に訪ねた榛名湖畔の「ユウスゲの道」のように思い掛けない花に会えるかも知れないと寄ってみることにした。ここも修学旅行の子ども達で賑わっていた。修学旅行とは名所旧跡と訪ねるものと思っていた。時代は変わったとつくづく思った。埴輪と呼ばれないように気をつけようと。
戦場ヶ原は高地の湿原。一体誰と誰が戦ったのだろうと不思議だった。案内板によると男体山の神が大蛇を引き連れて、赤城山の神は大百足を引き連れて戦った所だという。赤沼はムカデの血が溜まったって出来、菖蒲ケ浜は和平会議の会場。さすが神様、お花が好きだ。菖蒲の咲き乱れる会場で会議は成功だったのだろう。
草モミジの中に枯れた湿原の花の残骸があちこちにあった。もう少し早く来ればと悔しさしきり。来年を期して諦めた。目ぼしい秋の花はすでに終わり咲き残りが少しだけ淋しげに咲いていた。

IMG_3345.jpg

リンドウ リンドウ科

細く頼りない茎に似合わない大きな花を数個固まって咲かせる。透き通るような空色がきれいだ。漢字で竜胆。動物の胆は苦いとされ胃の薬の良薬とされた。例えば熊の胆。霊獣、竜の胆ならば苦さも飛び切りだろうが、霊験あらたかだろう。リンドウは竜の胆の名の如く猛烈に苦いが、よく効く。昔は重宝された民間薬だった。

IMG_3329.jpg
フウロソウ フウロソウ科

この花も頼りない細い茎だ。花弁はリンドウのように厚くはなく薄い。優しい姿は美少女の風情。フウロソウには色々の種類があるようだが平地に咲くゲンノショウコも仲間。ゲンノショウコはお腹の薬。現の証拠の名の如くピタリと効く。山に咲くフウロソウも効能は同じだが薬にするのは止めて置こう。可哀そうだから。

IMG_3333.jpg
ツルアジサイの紅葉 ユキノシタ科

紅葉は未だし、だったがただ一つ紅葉が始まった樹を見つけた。ツルアジサイのようだった。蔓紫陽花は木にまとわりつき這い登る。春、ガクアジサイに似た花を咲かせる。よく似たものに花は少し違うが岩ガラミがある。写真のもは岩ガラミか蔓紫陽花かどちらか分からない。息を飲むほどきれいとは言い難いが先がけて紅葉していて感無量だった。

鎌倉の称名寺の紅葉が他に先がけて紅葉して、藤原為相に称賛された事を作った能がある。能「六浦」。
ドラマ性は希薄だが四季の移り変わりと草木の美しさを謳いあげ仏徳を説くのが主眼の能。
神仏の徳を説くのは古今東西珍しい事ではないが、自然を賛美することをテーマに歌いあげるのは日本人独特の感性、能の特性でもあるだろうか。

むつら
能「六浦」為相への報恩の舞を舞う紅葉の精

称名寺を訪ねた僧が満山の紅葉の中に一本だけ紅葉しない木を目にする。不審する僧の前に現れた女が語る。昔、藤原為相が紅葉狩りに寺を訪れた。時期に早く紅葉していなかった。その中に一本だけ見事に紅葉している楓があった。為相は歌を詠む「如何にしてこの一本に時雨けん、山に先立つ庭のもみじ葉」昔は、木々の葉は時雨に濡れて紅葉すると考えていた。紅葉は為相の卿に詠まれた誉に感じて「功成り名遂げて身退くはこれ天の道なり」の諺を守り以後紅葉することを止めた。
紅葉の精は小面をつけた若い女の姿だが、紅葉しないという意味で赤い色を控えた装束を使う。それが反って自然賛美の舞に異色の雰囲気を醸して美しい。
藤原為相は十六夜日記の作者、阿仏尼の子、祖父に藤原定家、曾祖父に藤原俊成、冷泉家の祖。
 能「六浦」の詳しい解説はこちら

comment 0
back-to-top