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01.14
Sat
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国木田独歩文学碑 2016年12月6日写す。以下同じ。
明治末期の詩人、小説家、国木田独歩の代表作「武蔵野」の一節を刻んだ碑。

武蔵野は荻窪あたりから川越辺り迄、武蔵野市が中心地だったらしい。平坦な原野に雑木林、牧畜などの草原が広がる独特な景観の地だったという。
都までも聞こえ、古今集に「武蔵野は今日はな焼きそ若草の、つまも籠れりわれもこもれり」
伊勢物語では二条妃高子の歌としている。能「小塩」でも謡われる。「小塩」は業平が二条妃との恋の思い出を語る、ふくいくとした情緒の香の漂う能。

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イロハモミジ カエデ科

暦の上では冬。山の紅葉は散り果てたが、ここは晩秋。紅葉が真っ盛りだった。都市の真ん中を流れる川だが、両岸は鬱蒼と木々が茂り奥山を流れる谷川の様相。紅葉の色も鮮やかだった。

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エビヅル ブドウ科

山ブドウそっくり。山ブドウは山奥だがエビズルは平地にある。山ブドウの小型。黒く熟した実は甘く美味しい。酸味とやや渋味があるが。
屋久島や種子島ではエビズルをガラビと呼ぶ。ガラビの語源は英語のグレープの訛りだと物知りの説を信じていると聞いた。ここは大航海時代から昭和の初めまで度々外国船が難破し島民が助けた。エビズルをグレープと外国の船員が教えたという説。
最近このような実を“柄実か絡み?”、ガラミと呼ぶと聞いた。ガラミがガラビに訛った、が本当らしいが当地ではグレープ説が本当に思えた。

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カラスウリ ウリ科

赤くきれいな実は美味しそうだ。中身はパッションフルーツのように美味しそう見えるが嫌な匂いがする。とても食べられない。
花は花弁の周りに糸の様なヒゲを垂らした不思議は花を咲かせる。まるで爺さんのヒゲだ。“たまずさ”の名もあるそうだ。たまずさは手紙のこと。たたんで捻って結んだ結び文、ラブレターの意も。根から赤ちゃんや、弱い皮膚の“かぶれ”予防のベビーパウダー、天花粉を作ったそうだ。
白い髭の花を見ていると何か語りかけてくるようだ。“ピンクの髭にしてくれない?”とか。
能「実盛」の斎藤別当実盛は鬢やヒゲを墨で黒く染めて若作りして戦い、討ち死にした。

「死の美学」とか「死に花」という言葉がある。死は人の一回キリの大事業、己の生涯を最大限に飾りたい、その悲壮の中に美を見るのだろうか。この日本人の血は脈々と引き継がれてきたように思う。戦国時代の武将、近くは特攻隊、市ヶ谷の自衛隊のテラスで割腹した三島由紀夫。これらの人達は称賛された。ただし特攻隊員を戦争責任者として見る人は多い。だが難しいことは度外視して何かを信じて死んでいった彼らに憧れと尊敬の念を禁じ得ない。これらの人々の中に実盛の気概と「死の美学」を見る。

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舞台の階を池の土手に見立て己の首を洗う実盛の幽霊。

能「実盛」は修羅物、戦いを事とした人の能の傑作だ。死と常に向き合う武人の気骨を描く。ただ称名念仏すれば往生するとする時宗の香も匂い物語を彩る。

遊行の上人の前に実盛の幽霊は「笙歌遥かに聞ゆ弧雲の上、聖衆来迎す落日の前、あら尊や今日もまた紫雲の立って候」大江定基の詩を呟きながら現れる。重々しい上人の説法の場に法悦の空気が流れる。実盛の姿は聴衆には見えず声も聞こえない。上人と実盛の会話は上人の独りごとだ。
処は加賀の國、篠原。実盛は討たれ、辺りの池で首を洗われた。池の畔に実盛の幽霊が出ると専らの噂だった。実盛の幽霊の出現を悟った聴衆のどよめきが聞こえるようだ。

池の畔に消えた実盛の幽霊は再び上人の前に、身分不相応の錦の直垂姿で現れる。錦の直垂は侍大将の装束だ。錦の直垂は平宗盛に懇願して拝領した。死を覚悟して己の生涯を飾ためだった。
クセでは錦の直垂を模した法被の袖を巻いて誇示し武士の気骨を見せ、クセの前では篠原の池で首を洗われる場面や、終曲のキリでは手塚の太郎に討たれる場面が生々しくえがかれる。
この能でよく指摘されるが、戦いに赴き討たれるまでの場面が前後し描かれる。作者、世阿弥の自慢の作能法だという。それぞれの場面が反って鮮明に浮かび上がる。
能「実盛」の詳しい解説はこちら

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