FC2ブログ
09.23
Sat
170923_4875.jpg
多摩川 是政橋からの調布市方面の眺望 2017年9月10日写す。以下同じ。

多摩川は隅田川と並ぶ東京の大河。隅田川は都心近くを流れ、
多摩川は東京の西から東の東京湾へ、神奈川県との県境を流れ下る。
河川敷に野球場やサッカー場、バーベキュー施設、芝生の広場、
林、ヤブまで広がっている。隅田川とは全く違う景観、自然いっぱいの河。
両岸の堤防はサイクリングロードでサイクリングやジョギングで賑う。

170923_4811.jpg
オニグルミ(鬼胡桃)クルミ科

実はお菓子や和え物で親しまれている。
食べる実は脳ミソの形のシワシワの固い殻の中。
殻を割るのに道具がなければ無理。
リスは殻を歯でかじって食べると云うから驚く。
年末によく上演されるバレー「くるみ割り人形」はチャイコフスキーの
作曲だそうだからロシヤの人も食べるのだろう。

南国育ちは、胡桃は本で読んで知っていたが、どんなものか知らなかった。
幼い頃祖母が、蕁麻疹がでたら脳ミソの形の不思議な物体を煎じて飲ませていた。
長じて胡桃であることがわかった。実際に薬効があるかどうかは疑わしいが、
奇っ怪な形に薬効を信じたのかも知れない。信じることは恐ろしい。
繰り返し煎じてもピタリと治るのだから。
後で祖母に聞いたのだが、ある家の庭に胡桃の木が植えてあり主が、
お宝よろしく恩を着せてお下げ渡ししそうだ。

170923_4809.jpg
キクイモ(菊芋) キク科

あちこちのヤブに花盛りだった。ヤブコキして近づいた。
見上げる程の背丈、大型のまばゆい黄色の花、さすがアメリカ渡来。
根にショウガの様な太った根茎が出来る。
二次大戦終戦前後の食料難時代、争って掘り返して食べたそうだ。
意外とうまいよというので食べてみたが味は覚えていない。
多分、旨くもなく不味くもなかったのだろう。
別名カライモ(唐芋)。鹿児島の人はサツマイモをカライモと呼ぶ。
唐芋は異国渡来の芋ということらしい。

170923_4823.jpg
アレチウリ(荒れ地瓜)

河原の雑草を覆い尽くすように盛大に茂っていた。
隼人瓜(ハヤトウリ)そっくりだが果実は貧弱で、
仲間の瓜やキュウリに遠く及ばない。
アメリカ原産だそうだから相応しく巨大な実をつければいいのにと思ったり。

170923_4822.jpg
イタドリ(虎杖) タデ科

若芽は太く逞しく土を押しのけ顔をだす。
酸っぱいが、生を塩で食べると美味しい。ヌカ漬けはもっと美味しい。
太い茎が固くなって白や薄紅色の花を盛大に咲かせるとは想像もできない。
虎の杖とは大げさだが、茎に赤黒い斑点模様があるのを虎に見立てたようだ。
虎杖をイタドリと読むのは全くの当て字で、イタドリの根の漢方薬、虎杖根
(コジョウコン)からの読みらしい。
名月草とも。きれいな名だがどうして名月?
疑問は残るが少々不細工でも花の名はきれいな名がいい。

170923_4815.jpg
別荘(庵かも知れない)

多摩川の河川敷にはクルミや柳の大木が茂る林があちこちにある。
猫がいた。名前を知らないので「オイ、ネコ」と声をかけたら、
プイとそっぽ。向うえ歩いて行く。
後をつけたらこの別荘に辿り着いた。別荘の主のペットなのだろう。
別荘の骨組みは建築用足場のパイプ、屋根と壁はテント布とブルーシート。
鎌倉時代の大歌人、西行法師の庵は柴だった。
この別荘は先端の材料を使って、簡素に意を用いた近代建築だった。
主は如何なる人?栄華の巷を嫌いこの寂しい河川敷に隠棲しているのだろうか?

170923_4851.jpg
カナムグラ(鉄葎)アサ科

所かまわず生い茂り何にでも選ばず絡みつく厄介もの。
嫌っていたせいか、こんなかわいい花が咲くとは思いも寄らなかった。
ヤブコキで気が付いた。
能「三輪」の玄賓(げんぴん)僧都の庵を覆った葎もカナムグラだったのだろう。
玄賓僧都は平安前期の法相宗の高僧。高徳を慕って多くの貴賤が尋ねた。
名利を嫌う玄賓は、たまらんと逃げ出し、三輪山の山陰に庵を結び隠れ住んだ。

miwa.jpg
「神楽」を舞う三輪明神

能「三輪」は玄賓の閑寂な庵の佇まいを、
「門は葎や閉じつらん、下樋の水音も苔に聞こえて静かかなる、
この山住みぞ寂しき」と情緒深く描く。
心に染み入るのは、現代人はそれ相応に玄賓の山住に幾ばくかの、
憧れを持つからだろうか。
玄賓の庵を毎日、樒、閼伽の水を持って現れる謎めいた女が訪ねる。
女は玄賓に衣を所望する。不審する玄賓は女の住家を訊ねる。
女は「杉立てる門を知るべにて訪ね給え」と答え消え失せる。
女をミステリアスに描き後場の展開に期待を抱かせる。
女は三輪の女神だった。

後場のクセで三輪の縁起が語られる。おおかたの曲のクセは、
曲舞の定型の型で舞われるがこの曲ではこの曲だけの、物語に即した
型が舞われる。
謎めいた行動の、夫の行き先を突き止めようと夫の裳裾に糸を付けて、
その糸を辿る型に色々の型が工夫されている。

終曲のキリが、意外な展開で面白い。
神話、天照大神の岩戸開きで、天鈿女命が半裸で舞ったという舞を
「神楽」で舞い岩戸開きが再現される。
変化に富んだ物語の展開が魅力の能。

「三輪」の詳しい解説はこちら

comment 0
back-to-top