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09.30
Sat
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多摩川 東京都稲城市 稲城大橋より狛江市方面遠望。
2017年9月10日写す。以下同じ

多摩川は奥多摩のその又奥の山梨県の笠取山を水源に流れ下り
東京湾に注ぐ大河。
河川敷には野球場など娯楽施設もあり、ヤブも林もあり流れは澄み
アユも釣れる。自然いっぱい、魅力の川。

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多摩川のアユ

高度経済成長期の東京の川はドブ川だった。隅田川も多摩川もご多分に
漏れなかった。
清流が戻りアユが戻ったと聞いたことはあったが半信半疑だった。
おじいさん三人が河原で休んでいた。釣り竿があった。
「何が釣れるんですか?」
「美女」
「え?」
「人間の美女じゃあないよ。人間の美女は縁遠くなったからナ」
一人が河原からビクを持ってきた。アユだった。
まさしく美女!
「大きいのは塩焼き小さいのは丸ごと天ぷらか唐揚げ、全部持って行って」
固辞したが、自分たちは食べ飽きたからと凍ったペットボトル付きで30匹程
全部頂いた。嬉しいこと久しかった。感激限りなし!

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チョウセンアサガオ?(朝鮮朝顔)

?はあまり自信がないから。
変な名。熱帯アジアの原産なのにどうして朝鮮?
夕方咲き始めて朝しぼむのに朝顔?どうして?
花岡青洲がチョウアサガオから麻酔薬を作り、乳ガンの摘出手術に初めて
成功したことで青洲、朝鮮朝顔共々有名だとか。
朝鮮朝顔は今でも重要な麻酔薬の原料だそうだ。

祖父が大変な喘息の持病持ちで朝鮮朝顔の葉を煙草のように吸っていた。
庭一杯植えてあり花の頃は見事だった。
庭一杯、花盛りは幼い頃の記憶で後、記憶に枝葉が付いたのかもしれない。

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ヒガンバナ(彼岸花) ヒガンバナ科

河川敷の林の中にひっそりと咲いていた。彼岸花は大群落をつくる。
嘗ては大群落だっただろうが、木々が急成長して日光不足で情けない
株になったのだろう。河川敷の木は成長がはやい。こんなヤバイ所に
芽を出さないで草っ原に芽をだせよ、よ~く考えてと云ってやったが
無駄だろう。能「高砂」でも「草木心無し」と謡うから。

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クズ(葛) マメ科

秋の七草の一つだと云うが盛大にはびこるやっかい者。
邪魔者の花に興味はなかったがよくよく見るときれい。
葛の根は怪物のようで太い。根を細かく削って水で抽出、
デンプンを造る。クズ粉。
市販のデンプンはサツマイモやジャガイモから大規模な設備でつくる。
くず粉は手作業、大変な作業だろう。味は抜群、吉野が名産地。

葛は昔の人も手を焼いたのだろう。能「砧」では「恨みは葛の葉の」と謡う。
 訴訟で上京した夫が三年も帰らない。夫の帰国を待ち詫びる妻。
気晴らしに下人の作業の砧を打つ。
「悲しみの声虫の音、混じりて落つる露、涙、ほろほろ、はらはら、
いずれ砧の音やらん」
切羽詰まった妻の心情を見事に謡い表す。他に比類がない程に。
夫の帰郷が延びる報が届く。絶望の内に妻は悶死する。
幽霊となって夫の前に現れた妻は「恨みは葛の葉の」と夫に迫る。
「亭主、元気で留守がよい」のご時世なのにと思う向きもあらかも知れないが
なかなかの人気曲。

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河原の石の造形

誰が造ったのだろう。大小の石を積み上げて、それも安定を考え
積み上げている。灯籠二基もあった。三日や五日では造れまい。
ただの“お遊び”には見えなかった。何かを想い造ったのかも知れない。
目の前の清らかな多摩川の流を見ながら。

平安前期、嵯峨天皇の皇子、源融(みなもとのとおる)は憧れの奥州、
塩釜の絶景を模して六条河原に「河原の院」を造った。
池には致景で知られた塩釜の小島も造り、
毎日大阪湾から三千人に船で汐を運ばせ、塩を焚きその煙を楽しんだ。
融の死後、桁外れの規模の別邸を譲られた宇多院も流石にサジを投げ
荒れ果てたという。能に作られた「融」

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在りし日の華やかな遊舞を見せる融の霊

能「融」は魅力満点の能。美文が冴える。
融大臣(とおるのおとど)の亡心は塩汲みの老人の姿で現れ、
荒れ果てた河原の院の景色を嘆く。美文が老人の嘆きを倍加させる。
名所教えも作能の一形式に終わらず、塩汲みの老人の身の上に還元、
余韻を残し前場を飾る。

後場はガラリと変わり嘆きは消え失せ、在りし日の融大臣姿で、
浮きやかな囃子で現れる。
塩竃を写した河原院の主と名乗り軽快な「盤渉早舞」を華やかに舞い、
在りし日の豪奢な遊びを名文に載せて謳いあげ、
「この光陰に誘われて月の都に入り給う」と余韻を残し終曲となる。
この一節は追善に謡われる。死者を弔う意ではなく、華やかな月の都の
住人となって欲しいとの願いだろう。
余談ながら源氏物語の夕顔の巻の「何某の院」は河原の院だそうだ。
宇治の平等院も源融の別荘だったという。

能「」の詳しい解説はこちら「砧」はこちら


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