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06.01
Sun
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   5月23日写す 多磨霊園植栽

初夏、10メートルにも及ぶ大木が真っ白の花の帽子をかぶり、里山、深山の山裾をかざる。五月に入ると春の花は野山から姿を消し夏草が勢いづく。春と夏の花の端境期。暑からず寒からずいい陽気が続くが、野の花好きには淋しい季節だ。この季節にこの花が咲くから嬉しい。山法師とも山帽子とも書くそうだ。巨大な真っ白い姿は威厳のある山法師に見立てたのだろうが、でも山帽子のほうがいい。花嫁さんの綿帽子や、尼さんの花帽子が連想されて心が和む。果実は、垣根でよく見かけるビナンカズラの実にそっくり。食べられるが、そう美味しくない。焼酎につけて果実酒にするといいらしい。
 
この花を見ると、能「大原御幸」の建礼門院の清楚な姿が目にうかぶ。平家物語絵巻「大原御幸」で見る建礼門院は小さな身体に蒼白な顔、花帽子姿が痛々しく哀れを誘う。平清盛の娘、建礼門院徳子は高倉天皇妃となり安徳天皇を生んだのが23歳。当時、上流階級の子女は15歳頃から結婚、出産するのが普通だったと云うから、かなり遅い出産、そのぶん我が子、亡き安徳天皇への追慕は一入であったろう。

能「大原御幸」は、壇ノ浦の合戦で安徳天皇と共に入水した建礼門院が、ひとり助けられ、大原の寂光院に入り、我が子安徳天皇と平家一門の菩提を弔う。後白河法皇が訪れ、建礼門院は安徳天皇の入水、一門の最後を物語る。
初夏の寂光院のたたずまいの描写が美しい。ドラマのないドラマ。いかにも能らしい能だ。日本人の感性で見てほしい能。昔から今まで大事にされてきた超名作、大作。
 つや消しの蛇足だが、この花帽子、絹で緻密に織ってあるので通気性がすこぶる悪い。頭からスッポリかぶり、目だけ出す。まるでイスラムの女性。息苦しいことこの上なく。おおげさだが酸欠状態だ。

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