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06.17
Tue
イワタバコ
イワタバコ   イワタバコ科   2014年6月15日写す 植栽 鎌倉産

全国に山地に自生。北海道にはないらしい。
じめじめした岩や沢筋の岸壁に生える。直射日光に弱く当たると日焼けを起こし枯れてしまう。陰湿な日陰を好むが、姿は陰湿ではない。葉も美しいし、明るい紫色の、星形の花が可愛い。花弁はやや厚く造花のよう。美しい女性のイヤリングにしたい姿だ。愛好者は多く鉢植えなどに。花期に、奥多摩や山梨の沢筋に見に行く。変わった処では鎌倉。どうしてこんな明るいところに?と思う所に。切り通しや山陰、植えたのだろうが石垣にまで。日光、輪王寺の石垣でも見かけた。奥多摩などは7月半ば、鎌倉はそれより早く6月中半。別名、岩ジシャ、瀧ジシャ、岩菜、などなど。ジシャとはレタスのことらしい。名が示すように昔からよく食べられていたのだろうか。いかにも美味しそうな葉っぱだが苦い。苦みは薬効があるのではと食べるのかナ?と疑いたくなる。
十数年前、富山と新潟の境にある山姥伝説の里を訪ねた。車で境川を一時間ほど遡った山中だった。山姥の洞窟は沢沿いを辿り尾根をつめた所にあった。帰途、滝壺際の岩にイワタバコの大群落、花盛りだった。採ろうと、ついつい悪心を起こし岩によじ登ったが、何しろ苔むしてつるつる。ドボン!滝壺は深く頭は水面下まで潜っても足が届かなかった。山姥さまの怒り、山姥さまごめんなさいと、呟きながらずぶ濡れ這々の体で。

この里を訪ねたのは能「山姥」を舞うため、どんな所か見ておきたかったから。この能の山姥は人を食う恐ろしい女鬼ではない。この山姥の住んでいる所は、後ろに北アルプス、立山連峰を背にした深山。その霊気のような存在で、哲学的な要素を持った能だという。
白髪に、恐ろしげな面、生木をへし折った形だという「鹿背杖」突いて現れる。山姥は名のとうり女だがその姿は性を超えた威厳を感ずる。これだけでも十分想像、空想をかき立てる。この姿で「山姥の山めぐり」のクセ舞、山巡りの様子の「働き」をまう。重量感たっぷりの舞だ。この「クセ」は鎌倉室町時代に庶民の間に流行った「クセ舞」に前後を付け足して作った能だという。この時代に普通の民間の人達がこれ程の精神生活を送っていたとは驚きだ。昔の人は全てに劣っていると思っていたから。
この能を舞う前までは内容の理解が難しく感情移入ができない能だと思って敬遠していた。舞って見ると舞ごたえのある素晴らしい能だった。内容の理解は今一つだが、「感じるもの」が大きかった。「わけの分からない大きな物」に感情移入した貴重な経験だった。
理解できなければ納得しないというのは止めてフランス人流に「感じて」舞う、見る、能にはそんな所もあるのでは?
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