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12.14
Sun
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2014年11月1日写す 福島県いわき市夏井川渓谷

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2014年11月21日写す 新潟県弥彦神社

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ドウダンツツジ 2014年12月2日写す 武蔵野市境南町

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イチョウ 2014年12月8日写す 武蔵境駅前

紅葉狩り。春の花見と並んで昔から親しまれてきた、お楽しみイベントだ。花見は櫻の花の下で無礼講の宴会をするが、紅葉の下の酒宴は見たことも聞いたこともない。旅行会社の広告にまんまと乗せられて、サイフの紐をゆるめ、東北の鳴子峡や奥入瀬など紅葉の名所を訪ねる遠出を思い立ったりする。それもいいではないか、生きている甲斐というものと自身を無理に納得させる。

紅葉は落葉樹が厳冬を生き抜く準備だそうだ。しかし、それにしては悲壮感が全くない。
全山、赤や黄色で着飾って、まるで両手を挙げ歓声を上げているようだ。
九州の暖地、南西諸島、奄美、沖縄にはヤマイモ、漆など数種が常緑樹の中にチョボチョボ。この地方の人達は紅葉の美しさを、歌や本やテレビで見るだけで本当の美しさを知らない人が多い。
 東北地方は、ほとんどが落葉樹。秋には全山が色づく。松や杉の針葉樹の青が錦を引き立てる。

紅葉と云えば“楓”。語源は色々。葉の形から「蛙手」が転じて“かえで”が納得。
「パッとひらいた赤ちゃんのお手々のようにかわいいな」こんな童謡があった。
楓にも色々種類がある。よく目にするのはヤマモミジ、イロハモミジ、イタヤカエデ。イロハモミジは “お手々”の数をイロハニホヘトと数えたから。イタヤカエデは材が堅く石工が板矢くさびにして石を割った。

紅葉は広島の県木。“もみじ饅頭”は知らない人は少ない。名物になるほどのお菓子かナ?は個人差があろうが、大阪の漫才で有名になった。
流行語も作った。“しかと”。花札の一枚。紅葉を背にして佇む鹿が横を向いている。ソッポを向いているようで「無視」の意に使われるのはご存じの通り。世の中には鋭い人がいる、脱帽。
 
いちょうは銀杏、公孫樹。日本では何処にでもある木だが、原産ではないか、と云われる中国では見かけなかった。実は銀杏、お酒のつまみに最適。果肉はうかつにさわると“かぶれる”のでご用心。
この木、古生代の生きた化石だそうだ。雌雄異株。花粉ではなく精子で受精。雨水を伝わって雌木に這い上がり受精、と聞いた記憶があるが自信半々。さすが古生代の代物。生命力が強いのだろう、それ故か薬効があるという。フランスに輸出。

しつこいようだが、ついでに、与謝野晶子の歌二首。
「金色の、小さき鳥の形して、いてふ降るなり、夕日の丘に」
「秋の風、来る十方玲瓏に、空と山野と、水と人とに」
秋が来るとこの歌を思いだし日記に書き“秋来たる”の感慨をつのらせるのだ。
歌は間違って覚えているかもしれないし、作者も晶子ではないかも知れない。念のため「みだれ髪」を探したがこの歌はなかった。生意気な云いようだがキザっぽくも魅力ある、この歌は与謝野晶子だと信じている。
 和泉式部。平安朝を代表する歌人の一人。浮き名を流した人で有名。「能」では式部の“浮き名”を題材にした能はない。能「東北」では雅な宮廷を舞台に式部の優雅な姿を描く。清らかな名作だ。能「東北」に、先に挙げた与謝野晶子の歌がダブるのだ。自然の美しさに感動し賛美する、そんな一面があったと、感動だ。

ドウダンツツジ、“満天星”と書く。不思議な名だ。垣根などに仕立てるなどよく見る木。春、提灯形の可愛い小さな花を咲かせる。秋の真っ赤な紅葉がひときわ目立つ。

友人に何にでも感動する男がいる。どこで聞きつけたかカエデの樹液には糖分が含まれていると国有林に潜入、樹液を集め煮詰めたが見事に失敗。
「そんな物から砂糖が取れる訳ないだろう。取れるなら昔の人がとっくにやってるよ。昔は砂糖がなかったのだから。相変わらずドジだな」友人は「ヘッヘッヘ」。
メープルシロップの原料、北アメリカやカナダにある砂糖カエデの樹液の話を聞いてドジッたのだろうか。
年のせいか、今は温和しく無農薬野菜の八百屋を営んでいる。

これほど日本人に愛されてきたモミジだが能の作者達は冷淡だ。「紅葉の色に」や「紅葉かつ散り」など断片的には取り上げるが、櫻ほど大事にしない。わずか「龍田」「紅葉狩」二曲がよく知られた曲だ。

「龍田」は奈良の龍田神社が舞台。日本を象徴する文芸「和歌」と日本古来の宗教「神道」を主軸にした能。前半の紅葉の和歌をめぐっての問答、後半の神徳をあらわす「神楽」が重厚に面白い。終曲、「キリ」は山風に乱舞する紅葉吹雪の中を昇天する龍田明神が描かれる。みごとな情景描写だ。
「神道」は古代から「国教」だった。戦後、信仰の自由で国教が解かれ、影も薄くなったように見えるが、実質的には国教だ。中国、韓国との間に誤解がある。本当の神道を理解してもらう地道な努力をする義務が、我々日本人にはあると思う。
 龍田神社の境内に金剛流発祥の地の碑があり毎年二月、顕彰祭が催される。

「紅葉狩」。信州戸隠に住む鬼神の話。美女に化け、戸隠の山中で紅葉狩りの宴を開き、鹿狩りの平維茂を待ち受ける。美女の籠絡にまんまと引っ掛かった維茂は酒で眠らされ命を取られそうになるが八幡明神のお告げで目を覚まし激闘の末、鬼を退治する。
美女達が紅葉狩りの酒宴で四方の景色を謡う。美しい情景描写だ。昭和天皇妃が愛唱したと聞く。
能「紅葉狩」は五番目、キリ能と呼ばれ能会の最後に演ぜられる。能は深刻な人の心の奥底を描く作品が中心になる。これらの曲を見た後の肩ほぐしのための作品。
   
詳しい解説は「能曲目の解説」をご覧下さい。

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