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2014年10月25日写す 調布市都立野川公園 植栽

風が冷たい晩秋の頃だったと思う、犬吠埼を訪ねた。海岸の岸壁に黄色いものが見える。好奇心に近づいてみるとツワブキだった。かなりの群生だった。潮風にいっせいに靡く様は着飾った貴婦人の舞踏会を思わせた。美しい花だ。

ツワブキはキク科。花の形、香りはまさしく菊。茎や葉は菊のイメージにほど遠い。姿形がウチワにそっくり。葉は大きくテカテカ。まさしく語源のツヤ蕗。九州以南の暖地にオオツワブキがあり若芽を食べる。蕗のシャキシャキ感ではなく、しっとりとして甘みがある。油揚げや薩摩揚げとの煮物や炒め物、キャラブキにする。
欧米にはツワブキのような植物は珍しく愛好者が多いとか。ニューヨークの植物園では温室の中央に鎮座していたと、ものの本で読んだことがある。

友人に屋久島に移住した変わり者がいる。彼は東京生まれ東京育ち。何が原因か知らないが突然大学を中退して屋久島で農業をしている。ここをたびたび訪ねる。
春に訪ねると、ツワブキの若芽と琉球竹のタケノコの煮物のご馳走が待っている。味と云い、食感といい抜群。この地方の主要の山菜だ。
ここの人達はワラビ、ゼンマイなど見向きもしない。タラの芽は天ぷらにすると美味しいと教えたら「あんなトゲトゲ、食べられる訳ない。だけど冗談は一級」と笑い飛ばされた。ワラビ、ゼンマイの美味しさを熱心に教えたら、それではとゼンマイを食べたと云う。よくよく聞いたらゼンマイに非ず“ウラジロ”だった。ゼンマイを知らなかったのだ。でもまあまあ美味かったと。シダ類には毒がないそうだから間違いもたまにはいい。先年、石垣島でヘゴ、オオタニワタリを食べたが美味しかった。
こちらにも失敗がある。リュウキュウ竹は篠竹とそっくり。同じものだと思って食べたら猛烈に苦かった。

鹿児島南端から沖縄、台湾の近くまで島が連なっている。南西諸島だ。昔は島つたいの交易路で「海の道」と呼ばれたそうだ。温暖で自然の幸に恵まれて暮らしやすく美しい島々だ。
中国の伝説に不老不死の地、蓬莱島が東海中にあったという。とすれば南西諸島のどこかにあったと信じたい。それ程美しい島々なのだ。蓬莱は熱田神宮とする説話があるらしいが。

蓬莱島。能「楊貴妃」では、唐の玄宗皇帝の寵姫、楊貴妃が安禄山の乱で殺された後、住んでいたとする。
玄宗は楊貴妃が忘れられず方士に楊貴妃の魂の在処を尋ねさせ、方士はこの蓬莱宮に貴妃を捜しあてる。貴妃は方士に玄宗との愛の日々の想い出を語り、誓いの言葉「天に在らば願わくは比翼の鳥とならん、地に在らば願わくは連理の枝とならん」を教える。白楽天の「長恨歌」を要所に配した美しい詞章が魅力だ。
殺された恨み心など微塵もなく、玄宗への慕情、ゆかしい女心を描いた美しい能だ。
「女能の第一である。面、装束など結構なものにし、さして習い事はないが重々しく舞うこと」と口伝があると云う。
   
※能「世貴妃」の詳しい解説は「能曲目」の解説をご覧ください。
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