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06.21
Sun
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IMG_1047.jpg   2015年6月1日 武蔵野市境南町 で写す  

 六月の初め頃、高尾の多摩森林科学園にサイハイランの写真を撮りに行った。
去年みごとな群生を見つけたので。
何の疑いも無く行った。
ところが一本も無かった。辺り一面掘り返した後があった。イノシシめだ。ここにはイノシシが沢山いるという。
イノシシがサイハイランを食べるかどうか知らないがイノシシめの仕業だと思った。
イノシシにとっては有らぬ疑いかも知れないが。
おまけに雨が降ってきて他の場所を探せなかった。
仕方なく鉢植えの情けない写真となった。

サイハイランの名は、昔の武将が戦いの時、兵を指揮し打ち振った采配に似ているので名付けられたという。
ランの仲間は豪華なものが多いが、サイハイランは地味だ。枯葉色の萼と云うのだそうだが、これが鞘のように赤紫の花びらを包んでチラリ、チラリと見え隠れする。これが気に入っている。チラリがいい。
能の大成者世阿弥は「秘すれば花なり」と、世に言う「花伝書」に書いているそうだ。
花伝書は世界中に有名だという。「秘すれば花」は、つまりチラリなのでは。
葉と花の茎は丸い球根から直に出る変わった奴。球根は実は茎だという。
全国にあるそうだが八王子の山裾や高尾山周辺でよく見かける。

この花に初めて会ったのは十数年前。神奈川県伊勢原市の大山、阿夫利神社から七沢温泉へ抜ける山道の竹藪にクマガイ草があると聞いたので駆けつけた。クマガイ草は竹藪が好きだそうだ。
篠竹や真竹のヤブに手当たり次第にもぐり込んだが見つからなかった。よくよく考えれば当たり前。
野性の熊谷草や敦盛草は今や国宝級。そこいらの目につく所にあるわけがない。
その竹藪でサイハイランの群生を見つけた。花茎が1メートル位の巨大なものもあった。
名前も分からないまま珍しかったので頂いた。
汗と泥んこになって七沢温泉にたどり着き、客一人もいない大浴槽に一人で浸かった。
風呂から上がったらビニールの袋のサイハイランが無い。
さんざん探したら受付にあった。
受付のおじさん、「掃除の婆さんがゴミだろうかと持ってきたンですよ。麦の穂に似てますね。これ何にするんですか?」
折しも麦秋に近く、小麦の穂並みが風になびいて、きれいだった。

采配といえば能「頼政」。宇治川の合戦で敵将、田原忠綱が宇治川の渡河作戦で采配を打ち振り兵を叱咤激励する有様を頼政自身が床几に座ったままで見せる。その迫力は比類がない。この能一番の見どころ。
源頼政は平安後期の武将。源氏ながら平家に与し、平清盛のお気に入りで、破格の三位まで官位を進めた。
鵺を退治し、歌人としても名を残した。老境に入って、勝ち目のない平家打倒を企て、宇治の平等院で戦死した。
能「頼政」はその模様を作った作品。その頼政の所行は謎で、頼政を評して「鵺の様な人」と云われたという。
鵺は得体の知れない怪物。頭は猿、胴は狸、尻尾は蛇、手足は虎。夜な夜な宮殿の上に現れ天皇を呪い、命を取ろうとした。
この能の面は専用面「頼政」。鵺の様な頼政像を表す奇っ怪な面。
この能の前場に宇治川の情景が謡われる。歌人、頼政を讃えるかのような美しい詞章。
能「頼政」詳しい解説は「能、曲目の解説」をご覧下さい。又は本文中の青い太字「頼政」をクリックして下さい。
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