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08.23
Sun
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オミナエシ 2015年8月7日 長野県聖高原で写す
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オミナエシ 同上
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オトコエシ 2015年8月7日長野県聖高原で写す
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オトコエシ 同上

鵜飼・三千春02071
能「鵜飼」 松明を振りかざして鮎を追う鵜飼の老人

秋の七草。詩歌に詠まれ、昔から愛された花。
女郎花と書く。女郎のように艶めかしいというのだろうか。
葉は目立たず花ばかりが艶めく。
色といい形といい野性の花で、これ程整った花も珍しいのではないだろうか。
少しは欠点もあった方がいいのではないかと思ったりする。
人に例えれば、非の打ち所のない美男美女よりも少し欠点がある方が可愛げがあるとか。

女郎は一般の女性や、また上流階級の女房や局を指すこともあるらしいが、女郎花の女郎は遊郭の女性を指す方に軍配が上がりそうだ。
能「女郎花」では「色めきたてる女郎花、後ろめたくや思うらん。女郎と書ける花の名に、誰、偕老を契りけん」と謡う。
女郎を貶める訳ではないが、女郎花ではなく“上臈花”にして欲しかった。冗談だが。
 オミナエシの兄弟分にオトコエシがある。花の色は白。名のように大柄で何となく男っぽい。
昔のご飯は蒸したオコワ風のご飯で硬かったそうだ。栗ご飯の方が柔らかった。そこで米だけのご飯を男メシ、栗ご飯を女メシと呼んだ。これを花の名にした。
オトコメシ、オンナメシが訛ってオトコエシ、オミナエシになったという。
出来すぎで、なにか作り話のようにも聞こえるが。
能ではオミナメシ、メシと発音する。

女郎花の群生は夏の炎天に燃え立つようだ。炎の色は赤いというのが普通だが、黄色にも見える。炎の赤は“明”では、と思ったりする。
はるか昔の話だが、啓平さんと皆に呼ばれ親しまれた知人がいた。面倒見のいい行動的な人だった。
彼の発案で富士山麓の道志村に「みんなの家」を建てた。全て手作り。
水はすぐ近くを流れる沢。水を取り入れるホースを落ち葉がふさいで度々断水、大騒ぎだった。
そこで餅焼き網と茶こしで落ち葉を防いだ。“絶の妙”のアイデアと皆にほめられ鼻が高かった。その外は何も出来なかったから。
「みんなの家」の前のススキ原に女郎花が群生していた。帰りに子供達や女性達が歓声を上げ女郎花を手折った。この上ないお土産だった。
みんなが振りかざす女郎花の束が“松明”に似ていると思った。

能に、松明を振りかざして殺された老人の話がある。「鵜飼」だ。
「鵜ノ段」と呼ばれる名場面が中心となる能だ。
「漆黒の闇。松明の明かりが水の面を照らす。アユが躍る。禁漁を犯し、命をかけアユを獲る。恐怖はやがてアユを獲る面白さに変わっていく」
能はドラマ性をあまり重要視しない。わずかなこの一場面に老人の境涯を見、老人を通して己の境涯を見る。僅かな一場面が大きく拡がりとなる。

日蓮上人とおぼしき僧が甲州、石和川のお堂に泊まる。
夜半、松明をかざして老人が現れる。
老人は僧に、殺生禁断のこの石和川で密漁して殺されたその亡霊であると語り、僧の勧めで罪障懺悔に密漁の様を見せる。
罪障懺悔は犯した罪を再現して悔い改め来世を願うことで、僧の好奇心を満たす為ではないという。
僧達は河原の小石に経文を書き付け石和川に投げ込み老人を弔う。
やがて閻魔大王が現れ、老人は殺生の大罪を重ねた、その罪は重く地獄に落とすべきだが、以前、僧を我が家に泊め、もてなした善行により極楽に送ると、大王の威勢を見せる。

老人は一宿一飯のお陰で救われた。神仏のお賽銭はケチらない方が良いかナと思ったり。
前場の重量感に比べ、後場の閻魔大王は日蓮宗のコマーシャルめいているが視覚的には十分楽しめる後場だ。
   能「鵜飼」の詳しい解説は「能曲目の解説」をご覧下さい。
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