FC2ブログ
10.03
Sat
IMG_1444.jpg

IMG_1446.jpg

IMG_1442.jpg
2015年8月14日 調布市 都立野川公園野性植物園で写す

junseikai_2015022.jpg
能「三輪」 御幣を打ち振り舞う三輪明神

   
湿り気が好きな花のようだ。
湿地に群生して咲いているのを見ると、心はあちらに、見とれてしまう。
北海道から九州まであるそうだが、沖縄はどうだろうか。
草丈1メートル程、ピンクの穂の波に息を飲む。
野性の花の色はやっぱり鮮やかできれいだ。

以前、房総の田んぼの畦に、雑草を刈り取った後、一群らミソハギが刈り残されていた。目に強烈に焼つき、この所の人達のことが色々想われた。
盆花にする地方が多いという。お盆の頃に咲く。
ちょうどこの頃は、野草の花の端境期、その美しさを強烈に訴える。
信州地方では、お盆にミソハギを水に浸たし、辺りを祓い清め、祖霊を迎えるという。
今もこの床しい行事が今も残っているだろうか。
世の豊かさが神仏を遠ざけるご時世、大いに気になることだ。

ミソハギはミゾハギともミソギハギとも云うそうだ。
ミゾハギのミゾは溝。溝など湿地を好むからで、ミソギハギのミソギは禊で、御幣にしたからという。
ハギは萩の花に似ているから。
水辺に咲くこの花を折り取り御幣にして禊ぎをして身を清め神に何をお願いしたのだろうか。
このような風景はもう何所にもないのではとさびしくなる。

この花を見ると強烈な性格の知人を思い出す。
誰云うともなく詩人。東京生まれ。30半ばで屋久島に妻子を引き連れて移り住み、百姓を始めた。
まだ屋久島が、それ程有名でなかった頃、テレビの屋久島紹介の番組に出ていて、詩人と紹介されていた。
彼は山開きとお盆に毎に、家族を引き連れ宮浦岳に登るという。
大海の潮で禊ぎをして身を清め、0メートルから登るのだと、感慨を込めて話す目が潤んでいたのを思い出す。
御幣は神道の神具。
能に御幣を打ち振り舞う「神楽」と呼ばれる舞がある。他の能の舞と、旋律、リズムの趣が変わっていて神秘の世界に誘う。
三輪、龍田、巻絹、葛城など日本の神を語る曲、数曲。そう多くはない。

能「三輪」は憂き世の業を全て捨て去り、三輪の山懐に隠棲する高僧、玄賓を訪ね、罪の救済を求める三輪明神の話。
日本の神様が仏教の、しかも人間の坊さんに助けを求めるというのも変だし、明神の罪とは何かも明らにされないが、そこが能、現代風に詮索するのは野暮かもしれない。
当時は神仏混淆の時代でもあったので、その辺も興味深い。

謎めいた女、三輪明神の化身が玄賓を山居に訪ねる。庭に散り敷く落ち葉を、月影が訪れ、門は八重葎が被い、筧の水音が閑かに聞こえる。
荒れ果て、森閑とした玄賓の住まいの佇まいが語られ、神秘を帯びた女の姿と共に心に深く沁み入る。
日本人の感性の世界だ。
後場はガラリと変わり、躍動の世界が展開される。
先ず三輪の神婚説話が語られる。ある女の許に通ってくる男は実は三輪の明神であった。しかも蛇だったというのだ。
定型の型を連ねて舞う、おおかたのクセに非ず、随所に独特な型があって魅力だ。
 見せ場の「神楽」に続き神代の「岩戸開き」の神話で締め括る。
盛沢山の能だ。
   能「三輪」の詳しい解説は、こちら


comment 0
back-to-top