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10.24
Sat
乙女高原のたたずまいは前回に書いた。
地元の人にもあまり知られていないようで整備も行き届かなく見え、訪れる人も少ないようだった。
穴場かもしれない。
春はどんな花が咲くだろうか、楽しみだ。

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ノコギリソウ キク科
細長い葉の縁がギザギザだから鋸草。
小花が密集して咲く姿が可愛い。
白花が多いが八ヶ岳のはピンクだった。
羽衣草ともいうそうだ。葉の切れ込みを羽衣の領巾に見立てのだろうか。
葉のギザギザは羽衣に遠く及ばないが、羽衣をなびかせて笛を吹きながら飛ぶ天女の優艶な姿を、無理にでも想像するのも楽しい。

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ワレモコウ バラ科
花か実か判然としない不思議な花。
久米正雄の小説の一節、「我も紅なり」が名の由来だと信じられているが、間違いで家紋の木瓜紋に似ているからと、物の本でよんだことがある。
昭和の久米説は怪しいとして、学者の説を信じるべきだろうが「我も紅なり」がロマンチックでいい。
辞書にも「吾亦香」「吾毛香」とある。

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マムシグサ サトイモ科
茎に毒蛇、マムシのような模様があるのでマムシ草。
花は晩春、壺の様な花らしからぬ花を咲かせる。
花だから咲くと言わざるを得ない珍妙な花だ。
壺の中に雌しべだか雄しべだか知らないが白い塊が鎮座している。
壺は覆いまでついている。
実はご覧のように宝石。だが、かじったら大変。いがらっぽく口じゅう大火事。
今時、野山の木の実、草の実を口にする人は希だと思うが、好奇心旺盛の人ご注意。

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ノアザミ キク科
きれいな花だが恐ろしげな棘に手がでない。
花盛りは8月頃だが秋も深まった乙女高原に未練たらしく、枯れかかった枝にしがみ付いていた姿は気の毒でもあった。
アザミの若芽は美味しいものが多い。
中でも浜アザミが抜群。葉も茎も。
根はキンピラが最高。
お土産のヤマゴボウは本来は富士アザミの根だそうだ。

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ノコンギク キク科

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ヤマシロギク キク科
野山に咲く、ごく身近な、いわゆる菊の形の、キク属の花を野菊と総称するという。
よく似ていて素人には判別が難しい。
言い訳だが上記の名前も間違っているかもしれない。
野菊は歌に歌われ物語に登場するロマンチックな花。
伊東左千夫の「野菊の墓」が思い出される。
菊は日本人の生活習慣に切っても切れない花だ。
桜と並んで日本の国花でもある。
キク科の植物は1、2を争うほど種類が多い。一年草から大木まで。
タンポポやフキもキク科。
鑑賞用は古く中国から渡来、その後日本の野生の菊も交配に使われたという。
これほど親しまれた菊だ。題材にした能がない訳がない。その一つが能「枕慈童」

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能「枕慈童」は中国の話。
中国の古代王朝の穆王に寵愛された少年、慈童は王の枕を跨いで不敬の罪に問われ、猛獣の住む山奥に流される。
不憫に思った穆王は枕に経文、二句の偈を書付け、毎日偈を唱えよと命じ与える。
慈童は忘れないようにと菊の葉に偈を書き付ける。
その菊の葉に露が置き、したたり落ち酒となり淵をなした。
慈童はその酒の水を飲み七百年の齢を保った。
酒に“菊”が付くのはこの話が元祖。例えば“菊の水”とか“菊の杯”とか。
邪気のない童話風の作品。
慈童が舞う「楽」、つづく菊と酒を賛美する舞が楽しい。
古く中国では不老不死が人生最大の目的であったことから生まれた話の一つだろうか。
中国人は不老不死の仙薬を求めて漢方薬を作った。
西洋人は錬金術から化学を発展させた。
日本人は何だろう?類いまれな文学、源氏物語などなどを残したとさせて頂こう。
穆王の時代に中国に仏教が伝わったかどうかは怪しいがこれは「能」、無粋は止めておこう。
能「枕慈童」の詳しい解説は、こちら
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