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11.14
Sat
秋は寂しい。生けるものの気が滅の方向に向かうからだろうか。
源氏物語に取材した能に「野宮」がある。
光源氏との恋を諦め、斎宮に選ばれた娘と伊勢神宮に下る六条御息所は、心の内を歌う。
「秋の花、みな衰えて、虫の声も枯れがれに、松吹く風の響きまでも、淋しき道すがら秋の悲しみも果てたし」
自然の風物を我が身にたぐえ、もろびとの胸をうつ。
秋は寂しい季節だが色とりどりの木の実、草の実が慰めてくれる。この実たちが次世代をI受け継ぐと思えばなお愛おしい

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ガマズミ スイカズラ科
2015年10月30日調布市都立野川公園で写す
野山でよく見かける。
庭木に好まれるのは実が赤くきれいだからだろう。
果実酒にノミネートされる。
薄いピンクの色はきれいだが、さほど美味しくない。
食べても種が大きくて酸っぱく不味い。

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アメリカハナミズキ ミズキ科
2015年10月28日 武蔵野市内、街路樹
街路樹に植えられ、ポピュラーな木。春、花弁の厚い玩具のよう可愛い花。
ワシントン、ポトマック河畔の桜は毎春、華々しく報道される。
明治の終わり日本政府が日米友好のしるしにと贈ったという。
その返礼にと贈られたのがアメリカハナミズキ。
この実、どう見ても美味そうには見えないが試しに、かじってみたら、果肉は薄く、ほんのり甘くはあったが苦くて不味かった。

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ボケ バラ科
2015年10月28日 武蔵野市内、庭木
ボケ。“呆け”可哀そうな名だと信じ込んでいた。実も“呆け”の名の如くユーモラスな形で美しいこの花の実とは思い難いとおもっていた。
ところが漢字の「木瓜」の訓読み“ボクカ”が訛ったものだそうだ。
花の美しさに中国から渡来したという。
瓜に似た木の実がなるから木瓜だろうか。
だが名に似ず硬い。リス並みの歯でないと齧られない。香りは抜群。
日本原産にクサボケがある。
土手や山際に、地面を這い回るように茂るので草ボケだろうか。
ボケと同じ黄色い実がなる。カリンやマルメロも同じ仲間。実もそっくり。
これらはみな喉の薬。風邪で喉を傷めた時や、喉を使う人が愛用する。
以前、クサボケの果実酒を大量に貰った。
喉を酷使した時、ウガイしなさいと。
ウガイは、そのあと吐き出すのだ。
頂いた人の顔を立て、ウガイは格好だけにして飲んだ。もったいないから。美味かった。

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ホオズキ ナス科
2015年10月28日 武蔵野市内、住宅の庭。植栽
チョウチンのような皮に包まれ中に丸いミカン色の可愛い実。だが姿に似ずたくましい。
猫の額の庭に植えておいたら、いつの間にか庭を占領されてしまった。
実の中の種を取り除いて、口の中で、舌で圧迫して鳴らした。ギュウと不思議な音がした。女の子の遊びだった。あの光景が懐かしい。
浅草の観音様の境内で七月十日、ホオズキ市がある。ホオズキと江戸っ子、何やら不似合で不思議な気がするが。
食べると甘酸っぱくジューシーだが苦い。
一本の茎に五、六個ぶら下がっている様はまるでネックレスやイヤリングなどの装身具のように美しい。
装身具は人間だけではない。神や仏、天女もその身を装う。その豪華さはケタ違いだ。
能「胡蝶」では蝶々の精が、瓔珞で飾られた冠をかぶって登場する。瓔珞の中にはホウズキ形も混じっている。

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梅に戯れる胡蝶の精

能「胡蝶」は邪気のない綺麗な、童話風な能。
梅は極寒の花。蝶は春の日差しが増して生まれる。花と縁を結んで生きる蝶は梅に縁がない。
僧の前に現れた蝶の精は法華経の功徳で梅の花と縁を結ばせて欲しいと懇願する。
願いが叶った蝶の嬉々とした舞が美しい能。
「クセ」に源氏物語、胡蝶の巻で、幼児を胡蝶の姿にして舞わせた舟遊びや、中国の荘子が夢で蝶になったという、当時よく知られた荘子哲学を、軽く童話風にして雰囲気を広げる。
能「胡蝶」の詳しい解説はこちら
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