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07.20
Sun
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2014年6月19日写す 植栽 (咲き始め)

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2014年7月6日写す (満開)

色々種類があるらしいが、北海道から沖縄まで全国にある。土手や原っぱに。かなり高い高原でも見かける。イネ科の植物が好きなのだろうか、芝生の中に咲いているのをよくみる。緑一色の芝生の中にポツリと鮮やかなピンクの美しい花を咲かせているのを見つけるとオヤと嬉しくなる。群生しないでポツリポツリと咲くのもまたいい。
ネジ花が本名でモジズリは別名だというが、モジズリが本名であってほしいところ。歌枕、信夫が連想され床しい。
ネジ花の名は小さい花が、ねじれ模様に並んで咲くから。モジズリはねじれ模様を「信夫捩摺」(しのぶもじずり)に例えた名だという。信夫摺はその昔、信夫郡(福島県南部の地)の名産。捩れ模様を摺り摺り込んだものだったという。伊勢物語に「この男、信夫摺の狩衣をなん着たりける」とあるそうだ。捩れ模様のある石に布を当て摺ったのもあった。江戸時代には廃れたようで芭蕉の「奥の細道」に「しのぶもじ摺の石をたずねた。石は半ば土に埋もれていた。昔は山の上にあったが見物人が麦を踏み荒らすので谷底に突き落としたと里の子供が教えた」とあるそうだ。

「信夫もじずり」は能にも登場する。信夫は行くに困難な憧れの地であったからでもあろうか。能、「采女」(うねめ)のクセの冒頭で「葛城の大君。勅に従い陸奥の、しのぶ捩摺」と謡う。能「采女」は帝の寵愛を失った采女が猿沢池に身を投げるという悲恋ものがたりだが、そればかりではない盛りだくさんの能。奈良朝の雅を美しく見せる。
クセ以降に、身分の低い采女ながら、宮中の宴を取り持った誉れを語り、御代を言祝ぎ締めくくる。悲恋物語で終わらないのはこの類の曲で、この曲だけかもしれない。前場のはじめでは、春日の森の由来を語る。今でも春日の社は原生林の中だ。わが故郷の鎮守の神も森の中。言いようのない懐かしさがこみあげる。

采女は地方官僚の娘で、容姿に優れた者を選んで出仕させた後宮の女官の役職名。身分は低かったという。平安前期には廃止しされ名だけ残り、色々な身の上の人の呼び名となった。
猿沢池は奈良、興福寺南門近くにある。池の辺には采女を祀った祠や身を投げた時、衣を懸けたという「きぬかけの柳」の碑がある。
「采女」の詳しい解説は潤星会ホームページ、「曲目の解説」をご覧下さい。
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07.12
Sat
140628_1.jpg 「懐かしやと言わんとすれば」我が子の頭を撫でようとする亡者。

六月二十八日能「善知鳥」を舞った。善知鳥、殺生石の二番立て。曲趣が似ていると、指摘もあった。初番を鬘物か狂女物にすれば番組としては整うが、よく考えるとこの二曲は似て非なるもの、そのままでいくことにした。「善知鳥」は想い出のある曲だ。正直なところこれに拘ったのかもしれない。「善知鳥」は世阿弥の作、分かりやすい能だ。地獄に落ちて苦しむ猟師の話。仏教の世界が遠のいた現代では「地獄」は異次元の世界だが、現代人はまた、この世の地獄に苦しんでいる。この二つの地獄を重ね合わせて観る人もいるかも知れないなど勝手に思ったりして。

この能の要は三つ。
その一。立山の地獄から、故郷の外ケ浜の妻子の前にあらわれた猟師の霊が、あの世とこの世に隔てられた悲しみをみせる。
その二。殺生戒を犯した罪に怯えながらの猟。次第にその興奮が高まっていくさまを見せる。ウトウという鳥を捕らえるようすを見せる「カケリ」が臨場感満点、一番の見どころだ。
今回は「組落シ」の小書。カケリの最後、いったん囃子が手をとめる演出。
 その三。猟師が落ちた地獄のさりさまを見せる。猟師が獲ったウトウの親は空から血の雨を降らし猟師は妻子が手向けた蓑笠を着て逃げ惑う。涙の血は肉を溶かすのだ。さらにウトウは化鳥となって猟師の肉を裂き目をくりぬき食う。凄惨この上もない地獄の描写。「助けたまえ御僧」と叫びながらまた地獄へ落ちて行く。現代人も共感するところがあるかも知れないと、これもまた勝手に。

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①ワキの登場  
シテは揚げ幕の前に立つ。ワキの「山路に分かつ巷の数、多くは悪趣の険路ぞと、、、、、ざんぎの心、時過ぎて、、、」と謡うのを聞いているとしだいに地獄の亡者になっていく。
僧は地獄があるという立山を訪ね霊場巡りをし、地獄に通じるという分かれ道を見、その恐ろしさに我が身の犯した罪を思い懺悔の心を起こしたのだ。
呼びかけ

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②シテは幕の内から、僧に「去年死んで今この立山の地獄にいる者だが、外ケ浜にいる妻に蓑と笠を手向けてくれるようにと伝えてくれ」と呼びかけながら僧に近づいていく。遠近を表現しなければならない。歩きながらの「呼び掛け」はいつでも苦しい。ワキの地獄の情景作りに乗せられたか、さほど苦しくはなかった。※ 外の浜は青森県、日本海に面した津軽半島北端、竜飛岬に近い地。

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③証拠の袖を千切る。
僧は、なにか証拠の物がなければ妻は信じないだろうという。亡者はそれならばと、死ぬ間際まで着ていた着物の片袖をちぎって僧にわたす。
 袖は千切れ易いように工夫する。失敗した時のことを考え自分で付けるものらしいが今度も人に頼んだ。少しバリバリと音がするのが臨場感があっていいのだが音無しだった。幕に入るのも工夫のいるところだ。僧への期待感と、また地獄へ帰る暗さがなくてはならないだろう。
  これで中入り。前場の終わり。シテは舞台に入ることはなく前場を終わる。

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④舞台は外の浜。僧は亡者の故郷、外の浜に亡者の妻を訪ね証拠の片袖を渡す。
シテは生前の猟師の装束をつける。
後見に装束を付けて貰っていると、装束の間から、また鏡の間から僧と妻の問答が聞こえてくる。
しだいに妻や子への思いや、外ケ浜の懐かしい景色が浮かんでくる。

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⑤後場。猟師の霊は故郷、外ヶ浜の妻子の前に現れる。
僧の読経に引かれるように出ようと思うが、思うようにいかない。かの観世寿夫の名言
「幕放れ(幕から橋掛かりへ出ること)は足がすくむ」が頭をよぎる。
一声の後のサシが苦痛だ。長文の上に難解だ。仏の慈悲を願うのだが、理解して聞いてくれるだろうか?と思いながら以心伝心と云うのもあると自身に言い聞かせる。

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⑥子の千代童の頭を撫でる。
子が可愛いのは自分が殺した鳥や獣も同じだと子に駆け寄り頭を撫でようとすると子のすがたは消えてしまう。地謡が「横障の雲の隔てか悲しやな」と謡う。横障の雲とは悟りを妨げる雲だという。どう表現したらいいのだろうか?親子はあの世とこの世に隔てられたのだとすると型が納得いく。中でも消えた子を探す型が生きてくる。
猟師の霊は望郷の念にワキ正面の彼方を遠望する。遠くに故郷がある態だ。反対側の妻子の方を見るのもあるらしい。妻子は故郷に居るのだから理屈に合う。
だが能には理屈を越えたものがある。ワキ正面のほうがはるかに遥かだ。情緒的だと思う。

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⑦クリ、サシ、クセ
ここにくると観客には失礼だがホッとする。座れるからだ。「善知鳥」は世阿弥の作品。世阿弥の作品は整然としていて文章の流れも抜群で解かりやすい。他の曲では解りにくいのが多いクリ、サシ、クセだが「善知鳥」は解やすい。ジッと聞き入り次の、静と動の烈しい見せ場の団円、「カケリ」「キリ」に向けて心の準備をする。次第に心の高揚を覚える。

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⑧「カケリ」
ウトウを獲る。静に忍び寄り、たたき落とそうとすが失敗、行方を追う。静から動へ、間合いが問題だ。舞台正面で砂に中に隠れていた子の鳥を見つける。足拍子をふむ。心の高揚だ。

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⑨「カケリ」のトメに足拍子を強く踏む。すかさず大鼓が気合いと共に頭を打つ。付けて地謡は「親は空にて血の涙を」と謡う。この緊迫感に助けられた。
空から見ていた親鳥は血の雨を降らせる。笠をかざして逃げ惑う。蓑笠を手向けて欲しいと頼んだのは、このためだったのだ。地謡が「紅葉の橋の鵲か」と謡う。紅葉の橋は天の川に架かった橋。牽牛、織り姫の血の涙で赤い。情緒が付加される。シテは笠を目付柱、目がけ投げ上げる。笠は放物線を描いて落ちる。
さながら紅葉の橋だ。物語的には意味希薄だが、見る側をハッとさせて面白い演出だ。

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⑩キリ。凄惨な地獄絵図を見せる。
ここ地獄では生前、猟で殺した鳥、獣は怪鳥、怪獣となって猟師を襲い、猛火はその身を焼く。急調の謡に乗って、一つ一つの場面を丁寧に表現しなければならない。体力は限界に近い。火事場の馬鹿力を頼みに最後の力をふりしぼる。
留拍子を踏み幕へ静に向かう。生活のため仏の教え、殺生戒を犯さざるを得ない身の上の哀れが、後ろ姿に見えるようにと静に歩む。

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07.06
Sun
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高尾山の残照 2014年5月3日写す  

前回、卒業証書(一)のあらすじ。
桂馬は温子に卒業証書を渡す。その内容は、夫婦共に第二の人生を迎えたので、主婦業の責任を解除し,嫌な事は
しなくてもよい、というものだった。桂馬がその思いに至った理由は桂馬の生い立ちにあった。ながい間、暖めてきた
 理由を桂馬は温子に話すことにした。

「今日は記念の日だからこのまま寝るのは勿体ない。居間で、話しようか」桂馬の目は輝いていた。
「そうよね!お母さんの話、聞きたいわ」
「朝子も呼ぶ?」
「朝子は明日、早いといってたから可哀相そうよ。後で教えてあげる」
「そうだね。じゃあビールでも飲みながらにしようかナ」
「おつまみは何がいい?」「メタボになるからいらない」
二人は顔を見合わせて笑った。「話」の格好なお膳立てができたのだった。

桂馬には五歳違いの姉がいる。桂馬が母と姉の間に何かある、と感じたのは六歳のころだった。桂馬は、何時の頃からかは、はっきりしないが何時も父と寝ていた。
その朝、父の布団は空だった。気配を感じ、目を開けると母が桂馬の枕元に座っていた。見下ろす母の視線が熱かった。母の目はうるんでいた。母は急に目をそむけ、「桂馬もう起きなさい。顔を洗う前に居間に来なさい」母はうつむき加減に部屋を出て行った。何時もとは違う母の様子に桂馬の心の奥に何かが固まっていくのを感じた。この心のしこりは母との日々の生活の中で次第に大きくなって行った。
 座卓の前の母の顔はいつもの母の顔に戻っていた。
「桂馬、昨日の朝、お姉さんに悪いこといったでしょう。お姉さん、泣いてたけど、何をいったの?」
「竹とんぼ」
「どうして竹とんぼ?」
「八百屋のおじさんがいってた。お前ンとこの竹とんぼ姉ちゃん。母ちゃんに、ちっとも似てないなっていってたから、お姉さんにいった」
「竹とんぼ?」
「瘦せていて頼りない歩き方だって。お母さん、ろくなものしか食わせてないのか、それも仕方ないよナ、だって。八百屋のおばちゃん、すごくおじちゃんのこと怒ってた。余計なこというなだって」母の顔はだんだんこわばっていった。
「桂馬、お姉さんと、たくさんお話してはいけないといつもいってるでしょう。来年は一年生ですよ!どうしてお母さんのいうこと聞けないの」
「だって、八百屋のおじさんに」桂馬は息を飲み込んで「とっても腹が立ったんだよ。お姉さんが可哀相だったから、教えてあげた。」
「そうではないでしょう。お姉さん、からかったんでしょう?お姉さん泣いてたんだよ」きつい口調だった。
「お仕置きです」桂馬は物置にとじこめられた。朝の食事もお昼も抜きだった。
母がお仕置きをしたのも、口にしたのも初めてであった。隣家の、桂馬に二つ年上の初男が、悪さをして庭の柿の木に縛られて泣き叫ぶのを、父は「桂馬も悪さするとお仕置きだよ」というのを聞いて桂馬はお仕置きを知ったくらいだったのだ。
お昼もかなり過ぎた頃、物置に近づく足音が聞こえた。桂馬は物置の扉に駆け寄った。母だった。物置の扉を開ける母も、桂馬を見る母も、いつもの母ではなかった。肩を落とし目にも力がなかった。抱きつこうとした桂馬の衝動はしだいに薄れていった。母は桂馬の手を静かに取つた。母の手は、しだいに力をましていった。桂馬の中に母の何かが急激に流れ込んだ。桂馬はしゃくりあげた。いつまでも。
桂馬は成長してからも、物置の前で茫然自失と佇む姿を忘れなかった。桂馬は人を思う心を、このことで学んだとおもっている。
桂馬はこのことを姉にも父にも話さなかった。秘密にしなくてはならない何かを感じたからだった。

母は桂馬に「おまえは、変わった子だね」と時々いった。
母と買い物に行って欲しい物があっても「買って」とダダをいうこともなかった。友達とケンカすることもほとんどなかった。
赤ん坊の頃の桂馬は、朝目覚めても母が目覚めるまで騒ぐことはなかった。母は「顔を見合わせてニッコリ笑うのよ」と自慢げに話した。桂馬の穏やかな性格は母に似ていると近所の人達はいった。
母は感情をむき出しにすることはなかった。穏やかな顔、穏やかな振る舞いというわけではないが、静かだった。桂馬を叱る事はあったが口調は静かだつた。その説得力には逆らえない何かがあった。
 「お仕置き」があってからかどうか記憶は曖昧だが、母の姉に対する対応が変わったと桂馬は思った。着るものや、食事に気を遣う母が、幼い桂馬にも感じられた。
姉の着るものはいつも新調だった。大きな髪のリボンが羨ましかった。
 母は時折、実家に帰って伯父の子供のお古を貰って帰った。桂馬には新しい衣服を買って貰った記憶がなかった。家は裕福というほどではないが、いい方なのにと恨んだ記憶はないが、これも心のしこりだった。
実家に行くと母はよく風呂敷包みを持って帰ってきた。母は風呂敷の包みを解きながら「桂馬。人の価値は着る物で決まるものではないのよ。お母さんが通ってた小学校にね、二宮金次郎という偉い人の銅像があってね、破れたところをつくろった着物を着ていたよ。だからお前もがまんなさい。きっと偉くなるからね」
姉の食事にはよく卵がついた。当時、卵は貴重品だった。病気見舞の使い物にするほどだったのだ。
「僕も卵、食べたい」母は桂馬の顔をジッと見つめて「どうして食べたい?」母の視線に押されて俯き
「だって美味しそうだから」母は桂馬の方に向き直り「桂馬。食べ物は美味しいから、だけで食べてはいけないよ。お姉さんは、丈夫な身体になるように食べるの。桂馬は丈夫だから、不味いものでも食べなさい。美味しい物は、お盆とお正月だけでいいの。だから美味しい物を食べたときうれしいのよ」
 食欲の少ない姉は時々「わたし、食べたくないから桂馬にあげる」と云った。
「曜子、たべなさい。食べ物は薬だと思って食べなさい。よく食べて丈夫になりなさい」母の口調はその時だけは少し厳しかった。「桂馬ごめんね。」姉の言葉が優しく聞こえ、桂馬は納得したようでもあったが、わけの分からないしこりのようなものを感じた。
母は姉、曜子と桂馬を、間隔を置くように仕向けていように思う。幼い二人は当たり前の事のように何の疑いも持たなかった。姉、曜子との想い出は一つだけであった。幼時の忘れられない想い出となった。曜子も成長して「あの絵本が私の人生を変えたのよ」と述懐したのだった。

曜子はその時五年生、思春期に近かった。その曜子に母は絵本を渡したのだ。
「桂馬、おはなし読んであげるね。お母さんが読んであげなさいって」曜子はランドセルの中に手を入れ「先生にね、とってもほめられたんだよ」といいながら絵本を取りだした。母の手作りだった。奉書紙に切り抜きの絵を貼り内容は、ペンで丁寧に書いてあった。
表紙は「しあわせ」と端正な筆書きであった。唐草模様に小花の縁取り、和綴じであった。
「いつのことだか、どこだか、あるところに、お母さんと、お姉さんと、弟がいました。お父さんが亡くなったので、とってもびんぼうでした。ある日、学校でお友達が、お父さんとお母さんとレストランでおいしいパフェを食べたよと、じまんしました。弟はパフェが食べたくてしかたがありません。「お母さん僕もパフェたべたい」とお母さんにいいました。お母さんはお宮の神様にお願いしなさいといいました。
二人はお宮に行きました。お姉さんは弟に、二つおじぎして二つ手をたたいて、また一つおじぎするのよ、といいました。弟は五つおじぎして五つ手をたたいて、また五つおじぎをしました。はやく、たくさん食べたかったから。
その夜、お姉さんと弟は,リンゴやバナナやイチゴなどのくだもの、やまもりたくさんのパフェを食べる夢をみました。二人はお母さんに「夢じゃあつまんない」といいました。お母さんは「ほんとうのパフェをたべたらそれでおしまいだけど夢なら、なんべんでも!たのしいよ」といいました。おしまい。」
曜子は桂馬に「これ貸してあげる」と絵本をさしだした。桂馬は今でもこの絵本を大事にしている。
母は姉、曜子に何を伝えようとしたのか見当するしかないが、姉、曜子が言っていたように曜子が実母に会えなくても美しい実母の姿を心に描いていなさいと教えたのだろう。しかし桂馬はまた別の視点から、人生の峠を越え夢と希望が萎んで行く中で、母の絵本の意図が解るような気がするのだった。  つづく

 次回「母の秘密」
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07.01
Tue
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チダケサシ 2014年6月25日写す。 植栽。

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チダケサシの群落 2014年6月29日写す。 東京都八王子市高尾 多摩森林科学園

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ベニタケの仲間(だと思う?)。2014年6月29日写す。 東京都八王子市高尾 多摩森林科学園


あちこちの山の中に。北海道にはないらしい。
     
ユキノシタの仲間だという。ユキノシタを知らない人少ないと思う。湿り気のある、かなりの山の中から、石垣、日の当たらない庭の隅まで生えている。蔓を伸ばして這い回る、極めて繁殖力の旺盛なやつ。チダケザシはこのユキノシタの仲間だという。似ても似付かないこの二つがどうして仲間?頭を傾げても更に解らない。形、葉、花も全く違う。素人だからと、しておこう。
チダケサシは羽の形の複葉がいい。まっすぐシャンと立ち上がり茎のてっぺんにピンクの小さな花を、かたまって、円錐形の穂のように咲かせる。凛々しく野草の貴婦人だ。
山道の際や、山懐の田んぼの山際などでよくみかける。多摩川上水にも咲く。
 チダケサシは乳茸刺。乳茸を採ってチダケサシの茎に刺し通して持ち帰る、から付いた名という。「昔の人の袖の香ぞする」。古色が匂い懐かしい。

乳茸は夏のキノコ。中から乳状の液をだす。「掌いっぱいの乳」の意の学名を持つ変わった茸。芝生の中で見かける、赤みを帯びた紅茸の仲間だそうだ。
栃木に「ちちそば」がある。乳茸とナスを炒め、具にした汁で食べる。栃木名物だ。

「乳茸刺」と聞けば能「海人」が連想される。我が子の行く末のため、宝を盗み取り、乳房を切り裂き中に隠し、持ち帰るという、壮烈、強烈な母性愛を描いた作品。
玉取伝説を脚色。藤原不比等、淡海公は唐の高宗皇帝から贈られた宝の珠を志度の浦で龍神に奪われてしまった。淡海公は珠を取り返すため志度の浦に下り賎しい海人乙女と契りをこめ男の子をもうける。海人は子を世継ぎする約束を淡海公から取り付け、千尋の竜宮に飛び入り珠を取り返し乳を切り裂いて中に隠す。「珠の段」といい、女の出で立ちで龍神との争いを激烈に舞う。
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