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05.26
Sun
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バーベキュー大軍団 2019年5月3日写す。以下同じ

多摩川の河口、羽田から35キロくらい、府中市の多摩川河川敷。
家族連れ、若者グループ、50人程の大団体、外国人グループもあった。
もうもうと怪し気な煙が立ち昇り旗の形、怪獣の形、鳥の形に青空に
消えて行く姿に見とれしばしボーっと。

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オニゲシ(鬼芥子)ケシ科

流れの近くの砂利の中に咲いていた。ビックリ。
赤い大きな派手な花は一目で外国渡来と思わせる。
誰かが種を蒔くなど有り得ない、何処から来たのか。
真っ赤な大きな花びらが風に揺れ妖女の風情。
ヘロインを採る芥子によく似ているそうだ。
古い話だがチェンマイの山奥に山岳民族を訪ねた。
現地のガイドの勧めで。ケシの花が満開だった。
採り立て枝つきのライチを食べた。
中華料理店で食べるライチとは別物の美味さだった。
ライチは楊貴妃の好物、早馬で運ばせたそうだが西安まではかなりの日数、
鮮度も味も落ちるのは当然。楊貴妃より美味いライチを食べたのだ。
楊貴妃は花に例えればケシの花のような人だったのかもしれない。
能「楊貴妃」では楊貴妃の美さを「梨花一枝、雨を帯びたる」と謡う。
西安にケシの花が咲いていたら“ケシ一枝”となったかも知れない(笑)

能「楊貴妃」は安碌山の乱で非業の死を遂げた楊貴妃を語る。
楊貴妃の霊魂は仙界の蓬莱宮にあって玄宗皇帝との愛の日々を偲び暮らす。
玄宗皇帝も楊貴妃との離別を嘆き、せめて魂魄の在処でもと神仙の術を使う
方士を蓬莱宮に遣わす。
白楽天の長恨歌を軸に華麗に美しく貴妃の嘆きを語る大作。
長恨歌は今の世には遠くなったがこの能を観ていると美しく悲しく迫る。

楊貴妃2
蓬莱宮に貴妃を訪ね当てた証に、思い出の簪を方士に与える楊貴妃

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ハリエンジュ(針槐)マメ科

ニセアカシアの方がよく知られた名。
つぼみは天ぷらが美味しいと聞くので試した。
揚げ上手の手にかかると絶品かも知れない。
採るのにトゲが恐い。目立たず国産ぽいが北アメリカ渡来らしい。
白い花の房を垂れ、風に靡く様が夢を誘う。
“橙は実を垂れ時計はカチカチと”
草田男に見せたら何と詠うだろう。

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 クサフジ(草藤)マメ科

広い河川敷をススキや芦、葦の枯れ残りを掻き分け、転びまろびつ苦労の末
河原に出たらクサフジの群生が続いた。
鼻唄が出た。演歌だったり唱歌だったり童謡だったり、謡曲の一節だったり。
川面のさざ波を見たりしていたら、あれ?オレはもしかして
アノ世に行ってるのでは?と変な気分も起こった。

能「楊貴妃」の詳しい解説はこちら

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05.18
Sat
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武蔵野公園 2019年4月22日写す。以下同じ

武蔵野公園は府中市の北の端と小金井市の南の端にまたがる都立公園。
以前は街路樹を栽培する施設だった。野球場や遊園地風の遊び場などが
少しはあるが、木が生い茂る自然いっぱいの公園。林の中にバーベキュー施設
もある。西に自動車運転免許試験場、多磨霊園、東にキリスト教大学、野川公園、
調布飛行場と接している。これらを合わせると途方もなく広い。

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フデリンドウ(筆竜胆)リンドウ科

花は日が当たると開き当らなくなると閉じる。閉じた形が筆にそっくり。
昔の筆記用具は筆だった。美しい物の表現に“筆にも書けない”と云った。
能「放下僧」の小唄に「面白の、花の都や筆に書くとも及ばじ」と謡う。
小唄は室町時代に流行った芸能。能の中に残っているのが興味深い。
「放下僧」は仇討ちの能。父を討たれた兄弟。兄は僧、仇討ちは人殺し、
弟の必死の説得に苦悩の末、放下僧に身をやつし仇を求める旅に出る。
放下僧は僧形の芸人。
仇と回り逢い仇と交わす丁々発止の禅問答が面白い。
禅問答は言葉は解るが本当の意味は超難解。だが何となく面白い。
僧形で舞うクセ、鞨鼓、小唄が面白い。遊狂物と云い芸尽くしを見せる能。

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サギゴケ(鷺苔)ハエドクソウ科(蠅毒草科)

鷺苔の名も蠅毒草も奇妙な名。
花が鷺に似ているからというが似ているだろうか?群がって咲き豪華、
苔のイメージなど全くない。
科の由来の蠅毒草は根を煎じてハエ取り紙を作ったそうだ。
サギゴケとは全く違う姿だし花もショボイ。サギゴケの親戚とは思えない。
素人には分からない何かが同じなのだろう。
学者は凄い、つくづく尊敬の念に頭が垂れる。

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セイヨウタンポポ(西洋蒲公英) キク科

ヨーロッパ原産のタンポポ。
日本産のタンポポとそっくりだが花弁の外側の苞が乱れているのですぐ分かる。
一年中咲いている。そこらで見られるのはほとんど西洋タンポポ。
日本のタンポポを追い出したとも云う猛烈な繫殖力。

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カントウタンポポ(関東蒲公英)キク科

カントウタンポポは春だけに咲く。
蒲公英、“ほこうえい”は漢名だそうだ。
どうした訳か武蔵野公園では西洋タンポポを追っ払って誇らしげに咲いている。
タンポポとは外国語ぽいがれっきとした日本語。
花の形が小鼓に似ているから。
タンとポポは小鼓の擬音語。誰が付けたのか洒落た命名この上もない。
小鼓は張った締緒を掌で握り、握り絞めたり緩めたりして
色々の音を出す。音色をタ、ポ、プ、チなどと呼ぶ。

芸能には鼓の類いは必需品。能にも色々な太鼓が登場し、名手が登場する。
その一人、自然居士はササラと鼓、舞の名手だった。
在家の人で法衣を着、芸を見せて人を集め説法をした実在の人物。
能「自然居士」は演劇性たっぷりの能。

自然居士の説法の場に、少女が両親の供養のためと小袖を寄進する。
少女は我が身を人買いに売り小袖に代え寄進したのだった。
居士は説法を中断、人買いを追う。人買いは船で奥州に帰る出船間際だった。
居士は船に乗り込み少女を取り戻す交渉を始める。
聖職者と人買いの緊迫問答が面白い。
居士、少女を返さなければ人買いの行き先、陸奥の国までついて行く。
人買、ならば殺すぞ。居士、捨身の行だ、どうぞ。
根負けの人買いは考えたあげく、芸達者と聞いていた居士に芸をさせ
散々に嬲り少女を返すことにする。
人買いが次々に要求する舞に居士が答える。
船の由来のクセ、中ノ舞、得意のササラの舞、鞨鼓。
人買いの嬲りに堪え少女を取り戻した居士、逃げるように少女を
連れて都に帰る。遊狂物の代表格の人気曲。

自然居士
縛られ猿ぐつわの少女を「あら、いとほしの者や。やがて連れて帰ろうぞ
心安く思ひ候へ」と励ます自然居士

能「地面居士」の詳しい解説はこちら
「放下僧」はこちら






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05.14
Tue

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アサガオ(朝顔)ヒルガオ科 2019年 写す

名前は知らないが誰かがネズミの額に捨てて行った鑑賞用のシダ。
枯れかかっていたが、鉢に植え直していたら蘇った。緑の少ない時期に若緑が嬉しい。
鉢の隅に季節外れの朝顔が芽を出した。シダに絡みつき、なんと一輪だけ
花を咲かせた。千利休の上を行く風流な奴。秀吉様も微笑むかもしれない。
朝顔に釣るべ取られてもらい水(加賀千代女)
朝顔に魂とられて口あんぐり。(ネズミ家住人)
シダの大きな根に追い出されたのか季節外れだったのか一輪咲かせて
枯れてしまった。

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ダイモンジソウ(大文字草)ユキノシタ科 新潟産 2019年 写す

谷川の岩の上など水気のある所に咲いている。
純白の大の字がたわわに咲く白は高貴の色。
かなり古い昔、この花を採ろうと西沢渓谷の滝壺に落ちた。
五月の山の風は冷たかった。楽しい思い出は消えやすいが、悪い思い出は
なかなか消えない。
大文字焼のシンボルマークのように咲く。

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サクラソウ(桜草)サクラソウ科 長野産

毎年豪華に咲いてくれていたのが今年は何に腹を立てたのか
全く咲かない、ご覧の惨状。下は去年の写真。
花壇などでよく目にするサクラソウは西洋桜草。
日本桜草は珍しくなった。昔は荒川の土手に群生していたという。
豪華な花見弁当に美酒、舟を連ねて桜草花見と洒落込んだそうだ。
花弁の形、色も桜にそっくり。
名の由来と云うが名に相応しいゆかしい花。
桜は日本を代表する花。昔は花と云えば桜を指した。
桜の能も多い。なんと天女が桜泥棒を働く能が作られた。能「泰山府君」
日本人と桜の関わり合いの重さを示すかのようだ。
泰山府君は地獄の王、閻魔大王の息子、生きとし生ける物の命を司る。

桜町中納言と仇名された桜の花好きが短い花の命を伸ばそうと
泰山府君にお願いの祭りをする。
天女が降り立ち余りの美しさに一枝盗んで天に逃げ帰る。
奇抜な発想が面白い。通常、天女は羽衣を想わせる長絹を着るが
唐織の里女姿で現れる。唐織の里女姿だが面は神の顔の増女。
里女と神のミックス女の艶やかな姿で、月の暫し雲に隠れる隙を待ち
一枝手折る姿が何とも言い難い。

中納言の祭りの花園に泰山府君が現れ、桜泥棒の天女を呼び出す。
天女が現れ桜の枝をかざし羽衣を翻して舞う姿が美しい。
泰山府君は天女に花の枝を元の木に戻させ、その威厳を誇示する
「舞働」を舞い、花の齢を三七日、二十七日延ばす。
超スケール、奇想天外のドラマが天上ではなく地上で展開される。
大人向け童話に大いに楽しめる能。

泰山府君

「さしも妙なる花の枝、手折りて行くや乙女子が天津羽衣立ち重ね
雲井遥かに昇りけり」
能「泰山府君」の詳しい解説はこちら

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05.04
Sat

人間の巣が密集する町中にも野の花が咲く。
武蔵野は太田道灌や徳川家康が狩をした原野だったという。
中央線武蔵境駅近くの玉川上水の土手に国木田独歩の“武蔵野”
の一節を刻んだ文学碑がある。この辺りが市街化したのはそう遠い昔ではない。
町の中に野の花が咲くのも不思議ではないのかもしれない。
春夏秋冬それぞれの花が咲くが、やはり早春の花が感動的。
寒さに震えながら春を待っている。ふと気が付くと春の花が咲いている。
何時の間にか春が来ていた!感動この上もない。花が春の到来を教えてくれる。
珍しい花々ではないが一年振りに見る花は新鮮できれい。

町に咲く花は街路樹の下、公園の植え込みなど乏しい土に逞しく
咲いていた。スミレの類はコンクリートの隙間にも咲いていて驚かせた。

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クサフジ(草藤)マメ科
2019年4月8日 中央線武蔵境駅周辺で写す。以下同じ

住宅街に咲いているのは初めて見た、それも大群落。
道路の拡張で取り壊したアパートの空き地。
鮮やかな青紫の長い房、息を呑む美しさ。成程、草の藤!
藤は垂れ下がって咲くが草藤は誇らしげに上を向いて咲く。
歩けないのは当たり前だが上を向くと涙がこぼれるからではない。

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タチツボスミレ(立坪菫)スミレ科 

タチツボスミレは茎が立ち上がり花を咲かせる。他のスミレは茎のないのが多い。
根元からいきなり葉と花が立ち上がる。
町中から奥山まで至る所に咲いている。スミレは優しさを誘う花なのだろう。
童謡に歌われ、宝塚の歌姫はスミレの歌をうたい人々の胸を締め付けた。

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スミレ(菫)

スミレ名には頭に何々スミレと付くがこのスミレは何もつかないただのスミレという名。
数ある種類のスミレの中で姿、形、色合い全てトップクラス。
町の中に咲くのだから不思議。
「春の野に菫摘みにと来しわれぞ野をなつかしみ一夜寝にける」
万葉の歌人、山部赤人の歌だそうだ。少女ならぬオジサンがスミレ摘みとは、
と思わずニヤリ?だが、昭和初期の童謡は口ひげを生やしたオッカナイ
おじさんの作が多い。おっかなそうだが矢張り人間は元来優しいのだろう。
山部赤人の歌は能「求塚」でも歌われる。求塚は凄惨な恋の物語。

一人の女に二人の男が同時に求婚する。女は生田川のオシドリを矢で射させ
当った方を選ぶという。二人の矢は同時に同じオシドリに当たった。
女は二人の男に夫婦中の象徴のオシドリを殺すという無惨な所業を強要した
己の罪を悔い生田川の身を投げる。二人の男も女の墓前で差し違える。
女の霊が僧にこのオシドリの話をする。他人事のように語っていた女が
「その時わらわ(私)思うよう、無惨やなさしも契りは深緑の、水鳥までも我故に
さこそ命はオシドリのつがい去りにし哀れさよ」と我が事と語り出す。
早春のさわやかな生田川の岸辺でスミレの歌を歌い若菜を摘む心豊かな情景が
突如凄惨な空気に包まれる。語り始めた女の語調が突然変わり爽やかな空気が
凍り付き身が竦む。

女は地獄に堕ちる。地獄の過酷な描写は比類がない。

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スズメノエンドウ(雀の豌豆)マメ科

カラスノエンドウより小ぶりだからスズメノエンドウだそうだ。

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カラスノエンドウ(烏の豌豆)マメ科

カラスは役立たたない意の代名詞。食べられないエンドウ豆でカラスノエンドウ。
とは云うが若芽や若い実のサヤは結構いける。
カラスは嫌われ者、ゴミ収集車が来る前にゴミ袋を食い破って食い散らかす。
だが愛嬌もある。幼鳥から育てると人の言葉を喋る。オウムより上手。
カラスは昔から嫌われ者だったようだ。
〈烏てふ、おおほそ鳥も心して、うつし人とは誰か言う〉と能「砧」で謡う。
“カラスという大ウソつきの鳥が夫をまともな誠実な人だという”
「砧」は一途に夫を慕う女を描く。

訴訟で上京して三年、帰らぬ夫を待ち続ける妻。この暮れには帰ると知らせを持って
侍女が帰ってくる。妻は三年の間夫を待ち続けた苦しみ恨みを侍女にもらす。
静まり返った秋の夜、砧の音が聞こえてくる。妻は唐土の故事を思い出す。
「異民族に捕らえられた夫を偲んで妻と子が高楼の上で砧を打った。
遥かの故郷の砧の音が夫の夢に聞こえた」
二人は砧を打つ「砧の音、夜嵐、悲しみの声虫の音。交りて落つる露、涙。
ほろほろ、はらはらといづれ砧の音やらん」
晩秋の月が冴えわたり、寒風が音を立てて吹き去る。砧の音、悲しげな虫の声。落ちる涙。
いずれが砧の音だろうか。

都から知らせが届く。夫はこの暮れにも帰られないと。
妻は失望のあまり床に就き病を得、世を去る。

妻の許に帰った夫、嘆いても詮無いと云いつつも、せめて妻の霊を招き
言葉をなりとも交わそうと梓の弓をひかせ霊を呼び寄せる。
梓の弓に引かれて現れた妻の霊「末の松山千代までと、かけし頼みは徒波の
あら由なや虚言や、そもかかる人の心か」と夫の非情を咎め「烏ちょう、大おそどり」
と夫に迫り、一途な女の恋の果ての激情を見せる。

砧
「ほろほろはらはら、いずれ砧の音やらん」砧を打つ二人

能「砧」の詳しい解説はこちら
「求塚(もとめづか)」はこちら





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