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06.17
Sat
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滝行の霊場 2017年5月27日 高尾山にて写す。以下同じ

高尾山は信仰の山。数か所に滝行の霊場がある。人は生きるために罪を重ね穢れる。穢れを洗い落とすのは水。水で穢れを払う、万国共通らしい。インドの人は毎日沐浴をするという。乞食でも清潔。ガンジス川の茶色に濁った水でインドの人達に混じって沐浴した。捻挫の痛みが消えたのを思い出す。

高尾山はJR中央線一本で行けて深山の雰囲気があり手っ取り早いハイキングスポット。
山頂近くに高尾山の象徴、薬王院があり参詣人で賑わう。麓からケーブルカーで手軽に行け、外国の人達も多くごった返す。
高尾山はやや珍しい草花が多いことでも知られている。登山者の少ない裏高尾には特に多いという。勢い裏高尾を訪ねることが多い。
今回は久し振りで表から登った。登山コースは八つ程あるという。花に沢山出会いそうな稲荷山コースを登った。かなりの急登、さすがに人は少なかった。
草花は春の花と夏の花との端境期だろうか目ぼしいものはなかった。もっとも時間も遅く急いで登ったので見落としたのかも知れないが。

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ガマズミ スイカズラ科

おかしな名。名の由来には諸説あるらしいが、聞いても興味を覚える程のことはない。
秋に真っ赤な実を付ける。いかにも美味しそうだがあまり美味しくない。種を皮が包んでいるような感じでそのうえ酸っぱい。果肉はごくわずか。
だが果実酒の材料としてはよく知られている。果実酒の材料は酸味があるのが条件。ないものはレモンなどで補うほど。ガマズミの果実酒は淡いピンク色で氷を浮かべると清涼感満点。味の好みは人それぞれだから余計な評価は控えよう。

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ナガバモミジイチゴ バラ科

木イチゴには種類が多いが中でも紅葉イチゴがいちばん美味しい。みずみずしく透き通って宝石のように美しい。だが全身トゲだらけだからご用心。乱暴に揺するとぱらぱらと落ちてしまう。初夏の山登りの楽しみの一つ。


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ガクウツギ ユキノシタ科

大きな花弁は装飾花というのだそうだ。ウツギの名が付くがアジサイの仲間だという。
この日、初めて出会った。オヤと驚いた。純白の装飾花が目を引いたし変わった花の姿だったから。
ビジターセンターで名前を教えてもらった。そう珍しい花ではないという。今まで何回となく出会った筈だが木の花に関心がなかったからだろう。

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山桜の実 バラ科

登山道の落ち葉の上に落ちていた。熟して落ちるには少し早いかなと思うが小鳥の仕業かも知れない。桜は日本の国花。華やかに咲き古い昔から親しまれてきた。散る花も歌に歌われ詩に詠まれた。だが実には誰も見向きもしない。次の世代を育む存在ではあるが落ちた実に悲哀を見る。能には桜の実とは比ぶべくもないが、悲惨な最後を遂げた人たちが多く登場する。源義経、俊寛、景清、建礼門院、楊貴妃、等々。人間ではないが人間を暗示したという怪物、鵺(ぬえ)の末路はとりわけ哀れだ。

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能「鵺」源頼政が鵺を弓で射落とし退治する場面。鵺の亡霊が頼政を演ずる能独特の演出。

僧の前に現れた怪物、鵺は腐った倒木のような船に乗って近づいてくる。「浮き沈む涙の波の空船(うつおぶね)」と嘆きながら。空船は殺された鵺が押し込められ淀川に流された船なのだ。
鵺は頭は猿、尾は蛇、足と手は虎、聞きしに勝る恐ろしい怪物だった。彼は天皇に憑き祟って殺された。
前場では鵺退治の勇者を公卿達が評定し、選ばれた源頼政が弓で鵺を射殺する武勇を描く。討たれる鵺が討つ頼政を演ずる。能独特の演出法だ。それ故その迫力は真に迫る。
後場では頼政の勲功と退治された鵺の哀れを対比して描く。
終曲に鵺は「暗きより暗き道にぞ入りにける、遥かに照らせ山の端の月」和泉式部の歌を絶叫して暗い海に沈んでいく。冥土への暗い道を月は照らしてくれるだろうかという想いを残して。
体制側に殺された者の悲哀と孤独な魂の救済を求める心情を描いた作品ともいう。

源頼政は源氏と平家の争い「平治の乱」に平家側に付き一門の反感を買い、齢七十半ば過ぎて勝ち目のない平家追討を企て自刃して果てた。知られた歌人でもあった。
得体の知れない人を“鵺”と評する。頼政の末路と殺された鵺の姿が交錯する。

    能「鵺」の詳しい解説はこちら

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