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07.08
Sat
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車山とレンゲツツジ。2017年6月16日写す。以下同じ

車山は霧ヶ峰のなだらかな凹凸を連ねる一番高いピーク。長野県茅野市と諏訪市にまたがり、標高1925m。初夏にはレンゲツツジ、続いて日光キスゲが全山を覆いその美景に息を飲む。
大きな木がほとんどない。レストランの人の話では毎年早春に山焼きをするそうだ。
眼下に白樺湖の麗姿、ホテル、別荘が点在、遠くに雪を頂いた信州の山並みが美しい。
毎年六月、この地を訪れる。花に会い写真を撮り、芽を出し始めたワラビを頂きに。


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ワラビ
山菜では一、二を争う知名度。ネバネバがあって美味しい。全国どこにでもある山菜だが皆が狙っているので勢い遠くへ行くしかない。
アクが強いのでアク抜きが欠かせない。美味しく食べるにはアク抜きが難しい。
天の啓示で秘伝を授かった。時ある毎にこの秘伝を人々に授けている。(笑)

車山の下の道路端に軽トラックが止まっていた。六十前後の小父さんと小母さんが乗っていた。
小母さん「どこから来たの?」
我が住む“巣”の遥か彼方を指さし「あっちから」
小母さん車の窓から身を乗り出して指をさし「向の別荘?」指さす方向の眼下に豪壮な別荘群、
唖然として「・・・・・・」意味なく首をこくり。よれよれTシャツによれよれズボン、古靴、褪色した帽子、別荘持ちの金持ちに見てくれるとはと意外だったが嬉しかった。


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カイジンドウ シソ科
奇妙な名。甲斐竜胆、甲斐神頭、どちらかというが、花はリンドウには程遠いし神様のもじゃもじゃ頭などと云うとバチが当たるかも知れないし。
ウツボグサだとばかり思っていた。花がそっくりだから。葉っぱや茎をよくよく見たら全然違った。花が咲いていない軟らかそうなのを茹でてオシタシにして食べたら苦くて不味かった。


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アマドコロ ユリ科
弓なりにしなった茎に小さな提灯を沢山ぶら下げ恥ずかしそうに咲く。なんとも可愛い。
若芽はアスパラのように美味しい。根はショウガの根のような、トコロ(野老)状で甘く美味しい、だからアマトコロつまり甘野老だそうだが掘り返すのは可哀そうだから食べたことはない。


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アヤメ アヤメ科
車山の草原に咲いていた。水気の少ない所に咲いていたので不思議だった。姉妹分の花菖蒲の菖蒲園は水を張った田んぼだ。これらの属は水辺に咲くものだと思っていた。同属で野生のノハナショウブやカキツバタも水辺に咲いている。
あまり気にしないで見ていたアヤメが過分の水を嫌うのを初めて知った。

杜若(かきつばた)や花菖蒲は能、「杜若」や「雲雀山」などに登場する。紫色は高貴な色であり、優しい花の姿が好まれたのだろうか。
「雲雀山」は、ひばり山の山奥の小屋に隠れ住む中将姫を乳母が命を懸けて守る。
乳母は日々の暮らしのために野山の花を手折り旅人に売って命を繋ぐ。
物語は初夏、乳母が売る花々の中には、「春を隔つるカキツバタ」という句があるから、きっとアヤメも交じっていた筈だ。この乳母が“花売り娘(おばさん?)”の元祖ですかね、きっと(笑)


ひばりやま
許されて都に帰るため小屋を出る中将姫の手を取る乳母。

中将姫は多分に伝説上の人だともいうが、かなり詳しい言い伝えが残っているという。
奈良時代の説話で、父は右大臣、藤原豊成。豊成は後妻の讒言を信じ我が子の中将姫を雲雀山に連れ出し殺せと命ずる。

能「雲雀山」はここから始まる。命ぜられた臣下は姫を殺すに忍びず、山奥に柴の小屋を建てかくまい、乳母に保護を命ずる。中将姫は子方が演じ、シテは乳母。
「げにや寒窓に煙たえて春の日いとど暮らし難とう」と子方の中将姫が今の境遇をこう謡う。子供らしからぬ漢詩の一句だが後に神格化された中将姫、続く物語が引き締まる。
乳母は狂気を装い里に出て旅人を待ち、四季の花の歌を謡い山野草の花を売る。
昔から日本人は優しい。貧者、弱者に優しい。
能「芦刈」の落ちぶれ男は地味な芦の花を、芸を見せて買ってもらい、能「隅田川」の母は在原業平の「東下り」を種に舞い同情した船頭が助ける。
里に下りた乳母は狂女物の型の如く「カケリ」を舞い「狂い」を舞い旅人に花を勧める。
おおかたの狂い物の能はこのところで思い切った「狂い」を舞う。この能の「カケリ」「狂い」は優しい。花の美しさ優しさが滲みでる。
クセの前半まで花の詩歌や故事が謡われクセの後半では、柴の小屋で露に置かれ雨に濡れる中将姫の境遇を悲しみ、愛しむ乳母の心情が切なく語られ涙を誘う。
悲劇は急転して前非を悔いた父、豊成に発見され、中将姫は目出度く都に帰還し観客の愁眉を開く。

救出された中将姫はそのまま当麻寺に入り終生、仏に仕えたという。日本三大曼荼羅の一つ当麻寺の本尊、当麻曼荼羅は中将姫が蓮の繊維で織ったと言い伝えられているという。
名は伝えられていないようで中将姫の名は姫の功績から女帝、孝謙天皇から贈られた位、三位中将とも中将内侍ともいわれるそうだ。

能 「雲雀山(ひばりやま)」の詳しい解説はこちら
  「隅田川」はこちら
  「芦刈」はこちら
  「杜若(かきつばた)」はこちら

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