FC2ブログ
08.12
Sat
大菩薩嶺は大菩薩峠から一時間程。富士山、南アルプス、その外、
遠くの山々まで一望、景色満点だというが生憎の曇り空で、
辺りはガスに包まれ展望零点、代わりに花々が慰めてくれた。


IMG_4617.jpg
鹿 2017年7月28日うつす。以下同じ

大菩薩峠近くで出会った。と云っても50メーターくらいは離れていたが。
動物園や奈良の鹿と大違い、スラリとして毛並みも鮮やかで美しかった。
物珍しそうにこちらを見ていた。
おーい、おいで。お菓子をあげるよ!と呼んだらプイと逃げ去った。
夫婦かな?恋人同士かな?残像がしばらく消えなかった。


IMG_4621.jpg
杖と缶ビールとオニギリと

杖はモミの木の枯れ枝。杖の長さにしようと無理に折ったら“握り”が尖り、
痛いので、トイレットペーパーを折畳んで包んだがそれでも少々痛かった。
缶ビールは小屋で買った。400円也。コンビニのオニギリはオカズ代わり。


IMG_4627.jpg
ヤマホタルブクロ (山蛍袋)キキョウ科

ホタルブクロの花は袋の様。子供達が袋のような花に蛍を入れ、
提灯にしたというのだろう。
本当かどうかは知らないが、ほんとだったら楽しい。
蛍は可哀そうだがこの上なく、幻想的。
玩具が少なかった昔の子供達は自然のものを工夫して遊んだ。
ゴマの花もホタルブクロのように長細い。
子供の頃ゴマの花の蜜を吸いに花に潜った蜂を、
花の入り口を指でつまんで閉じ込め、お尻の針でチクリと刺された。
痛かった。それでも懲りずにまたまたチクリ。いい思い出の一つ。
低地に咲いているホタルブクロより色が濃かった。岩の隙間に咲いていた。


IMG_4625.jpg
コウリンカ(紅輪花) キク科

大菩薩峠から30分程登った草むらの中に咲いていた。
立ち入り禁止のロープが張ってあったので腹這いになり“立ち”ではないから、
いいだろうと屁理屈で侵入、撮った。
“やったー!”と有頂天になって100メーター行ったら、大群落があった。
腹這いで苦労して撮ったのに、人生ままならないナと。
垂れ下がった花弁の奇妙な姿と、他の花には希な底深い紅色は、
謎を秘めた微笑をたたえる仙女のよう。


IMG_4642.jpg
雷岩 2000と数メーター

標識が朽ち果て文字が読めなかった。
大菩薩嶺山頂と勘違いしてしまった。恐ろしいほどの急峻な悪路を下り、
ようやく平坦な登山道に辿り着きホッとして気が付いた。


IMG_4636.jpg
ウスユキソウ?(薄雪草) キク科

雷岩の近くに咲いていた。
ウスユキソウはヨーロッパの山の花の女王、エーデルワイスの仲間。
地味な花なのに、派手好みのヨーロッパの人達が歌にうたい崇めるのが不思議。
日本ではウスユキソウの歌を聞いたことがないように思う。
地味な花だがヨーロッパの人達に何か訴えるものがあるのだろうか。
少し深い山でよく見るヤマハハコかな?と思ったが花や葉の形が違うようだった。
ウスユキソウやヤマハハコは、お馴染みの母子草の仲間であることは誰でも納得だと思う。
母と子が頬を寄せ合う姿に似て、ぴったりの名。
学者に怒られるかも知れないが、ウスユキソウもハハコをくっ付けてほしいナ。
例えばハハコウスユキソウとか。
母と子の情愛は何時の世でも歌にうたわれドラマに作られる。
能では狂女物に作られている。
子を想う能は母だけではない。父が子を想う能もある。「天鼓」

天鼓
「打てば不思議やその声の、心耳を澄ます声出ずる」子の遺品の鼓を打つ老父。

「天鼓」は中国、後漢の物語。
世にも不思議な妙音を響かす鼓を持つ少年、天鼓。
帝が聞きつけ差し出すよう命ずる。
天鼓は鼓を惜しみ山中に隠れるが捕らえられ呂水に沈められる。
老父の嘆きが前場を埋め尽くす。
「孔子は鯉魚に別れ、思いの火を胸に焚き、白居易は子を先立てて枕に残る薬を恨む」
我が子を失った先哲も大詩人もこう嘆いたのだ。
帝に背いた子の死を嘆いても咎にはなりますまいと嘆く。

帝は鼓を打たせるが鳴らない。鼓は主人の天鼓に別れた故、鳴らないのであろう、
親の老人に打たせよと命ずる。
老人は鳴る筈はないと疑いながらも打つ。
「打てば不思議やその声の、心耳を澄ます声出ずる。げにも親子の證の声」

帝は感激して、天鼓が沈められた呂水の堤で天鼓の跡を管弦講で弔う。
やがて水中から天鼓の霊が浮かび上がり、鼓を打ち舞を舞う。
キビキビと軽やかな少年の舞、異国情緒の音律の「楽」が面白く楽しい。

   能「天鼓」の詳しい解説はこちら


comment 0
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top