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02.17
Sat
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ホトケノザ(仏の座)シソ科
2018年2月10日武蔵野市境南町で写す

寒い時期、道端に咲く雑草の花には中々お目に掛からない。
唯一暖かい陽だまりにホトケノザが咲く。場所は限られている。
花期は4,5月だが気の早い奴が極寒の中に咲く。
今年は例年より寒いい所為か心当たりを探したが見つからなかった。
諦めていたが、ひょんな所で見つかった。
大袈裟だが人の奇遇はひょんな事で起こるとつくづく実感。

横浜市磯子区の閑静な住宅地に久良岐能楽堂がある。
毎年一月の末頃、謡初めの会が催される。
京浜急行の上大岡駅から急坂を登り能楽堂まで歩く。ゆっくり歩き一時間。
頂上から見下ろす絶景は格別。昔は山だったが色とりどり人の営みが見える。
南向きの斜面の道を歩いていると路傍の陽だまりにホトケノザが笑っている。
何よりの楽しみだったが今年は寒さの所為か一本も見付からなかった。

ホトケノザは秋に芽を出し春から初夏にかけて花を咲かせ実をつけ
夏の終わりには枯れて行く哀れな花。仏の名を奉られても自然の掟には
抗えない、何とも可哀そうな花。源氏物語「若菜の巻」「柏木の巻」の
落葉の宮のような花だ。
落葉の宮は朱雀院の二ノ宮、光源氏の親友だった頭中将の子息、柏木の妻だった。
柏木はふとした事から源氏の正妻、二宮の妹、女三ノ宮を見染める。
柏木の歌「もろかづら、落葉を何にひろいけん、名は睦ましきかざしまれども」
(姉妹のうちどうして落ち葉の様なつまらない姉宮を妻にしたのだろう)
以来、二ノ宮は落葉の宮と呼ばれた。
柏木は三の宮との不倫が発覚、自責の念に苦しみ病に陥る。
今わの際に柏木は妻、二の宮の後を友人、源氏の子でもある夕霧に託す。
夕霧は落葉の宮を援助するうちに宮に惹かれていく。

能「落葉」は慎ましい女、落葉の宮が夕霧の恋情を扱いかね苦悩する姿を描き
終には受け入れざるを得なかった傷ましい女を描く異色といえる作品。
前場に落葉の宮の霊、里女が僧を宮の旧跡に案内して、荒涼とした景色や
炭窯に立ち昇るけむりを共に眺める場が物語の雰囲気を醸し胸を打つ。

クセでは山荘に籠る宮を訪ね恋情を訴えるが、宮に拒まれて落胆、
霧深い明け方の山を去っていく夕霧の姿を情緒深く描く。
クセに続いて夕霧と宮の心情を「序ノ舞」にしみじみと舞う。
序ノ舞を中ノに変えて舞うこともある。
宮の心の乱れに重きを置く演出だろうか。


落葉
「妄執の夕霧、身一つに降りかかり目もくれないの落葉の宮はせんかた涙に咽びけり」
キリに落葉の宮の激しい心の動揺が語られ、続く「破ノ舞」で示される。

ホトケノザはお釈迦様の台座から付いた名だそうだ。
ホトケノザの葉っぱが仏様のハスの台座にそっくりだからとか。
春の七草の一つだが不味い。
その筈、間違いらしい。小鬼タビラコと混同したという。

能「落葉」の詳しい解説はこちら






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