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06.18
Mon
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クリンソウ(九輪草)サクラソウ科 2018年5月6日写す。以下同じ

花屋で売っている花はほとんど外国原産の花、派手な花が多い。
だが日本にだって派手な花が咲く。クリンソウはその見本。
数個の花が輪になって数段、背も高く派手に咲く。
クリンソウは湿地に咲く花。
なんと千日回峰の山道の傍らに咲いていた。
鬱蒼とした杉林の中だったが多分水気があるのだろうが、人が植えるような
場所ではなかった。さすが背丈は低く花数も少なかった。

九輪草の九輪はお寺の塔の上にある九つの輪、花の咲く格好が似ている
からだそうだ。
水気の少ない悪環境で咲いていたのは、格好いい名を付けてもらったお礼に
行者達を励まそうと咲いているのかもしれない。
もしかしたら行者達が付けた名かも知れないと勝手に思ったり。

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鐘楼

根本中堂は修理工事中でシートに覆われていた。
ガッカリ!力なく石段を登っていたら、いきなり“ゴ~ン”
ビックリ!見上げたら赤い鐘楼が見えた。
時を知らせる鐘ではなく参拝の人が勝手に撞く鐘だった。
ゴ~ン♪ 諸行無常、悟りの響き。一突き50円。50円は安すぎる。
梵鐘の音はいい、巷に溢れるどの様な楽器の音よりも心を癒してくれる。


鐘と云えばやはり三井寺の鐘。
琵琶湖を見下ろす三井寺の庭の鐘楼にぶら下がっている。
昔、近江三上山の大ムカデを退治した豪傑、俵藤太秀郷が竜宮から
奪い返して来たと云う伝説の鐘だという。

鐘にはヒビが入っていて撞けない。
昔、比叡山と三井寺は仲が悪くイザコザが絶えなかった。
延暦寺の座主の座を巡るトラブルが原因だったそうだ。
三井寺に攻め込んだ僧兵の中に弁慶がいた。
弁慶は鐘楼の名物鐘を引きずり下ろし琵琶湖目がけ蹴っ転ろがした。
鐘は十里四方に轟音を響かし琵琶湖に沈み竜宮に達した。
「ヒビ」はその時入ったヒビだそうだ。
弁慶が蹴っ転がした鐘を秀郷が竜宮から奪い返したというが、
弁慶と秀郷とは時代が違う。
だが豪傑二人の物語は大げさだが豪快で面白い。
嘘でもいい、能「楊貴妃」でいうように、どうせこの世は
「何ごとも夢まぼろしの戯れや、あわれ胡蝶の舞ならん」

三井寺の鐘は昔から知られた名鐘だったのだろう。
能「三井寺」ではひたすら鐘のこもごもを語る。

三井寺
「初夜の鐘を撞く時は、諸行無常と響くなり」名月に三井寺の名鐘を撞き
舞い狂う母。

能「三井寺」は狂女物と呼ばれる能だが類曲と一味違った曲。
前場は極めて短い。
清水の観世音に我が子の行方の啓示を祈願するため参籠した母が霊夢を被る。
子を思う母の心情を重々しく描く。

後場はガラリと変わる。
「雪ならば幾たび袖を払わまし、花の吹雪と詠じけん、滋賀の山越うち過ぎて」
古歌を引いて琵琶湖々畔の美景を謡い登場するシテ、何とも洒落て面白い。
狂気をあらわす「カケリ」の後、三井寺への旅の様子を語る「道行」も道中の
名勝を語り舞い狂う。ひたすら子を偲び狂うのとは又違う面白さだ。

折しもの名月に住僧は弟子の子供達を伴い月見をする。
中にシテ、狂女の子もいる。能力が鐘を突く。
「わらわも鐘を撞こうずるにて候」と云う狂女に「狂人の身として鐘撞くべきか」
と制止する住僧に、鐘にまつわる故事を語り煙に巻き、鐘を撞く。
「鐘ノ段」と称しこの能の核となる知られた名場面。
続くクセの詞章が絶品、聞かせ処。

「三井寺」の母も子故の狂いではあるが芸の面白さを主眼にした能、
子への想いが溢れる「隅田川」と対極にある能と云えるかもしれない。
 
能「三井寺」の詳しい解説はこちら

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