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07.07
Sat
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報国寺山門 2018年6月2日写す以下同じ

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イワタバコ(岩煙草)イワタバコ科 鎌倉、報国寺で写す。

鎌倉にイワタバコが咲く!不思議で仕方がない。
イワタバコは山奥の滝の岩壁に、水しぶきを浴びて咲く花だと思っていた。
十数年前、鎌倉の山に分け入って何かないかと物色中、偶然見つけた。
水気のない岩カベの苔の座布団の上に笑顔で咲いていた。
その数年後、報国寺の竹林の中にあるお茶屋さんに行った折、
報国寺の脇を流れる小川の岸にはかなりの群落を見つけた。

鎌倉を訪ねたのは江の島で謡曲大会があり、そのついでにイワタバコの
様子を見に寄った。毎年6月の中頃訪ねる。
花期には少し早いかナ?と思ったが満開だった!良い行いの褒美かナ!と(笑)

イワタバコは花弁が厚く星型に咲き、まるで造花のようところが反って可愛いい。
薄い紅紫の花色がきれい。好きな花、番付けの上位。
葉っぱがタバコの葉に似ていて岩に生えるからイワタバコだそうだ。
タバコの葉は大きくてごつく、表面ネバネバで悪臭を放ち気持ち悪い。
イワタバコは小型で鮮やかな緑、形は似ていてもタバコの葉とは大違い。
若い葉は昔から食べられていたそうだ。岩ジシャともいうらしい。
この名の方がピッタリ。だが苦味がある。
「生魚、すぐ飽きチシャ(苣)を所望かな」口直しに最適かも。

報国寺脇の小川の上流に見上げる岩カベがありイワタバコがびっしり
付いている。イワタバコの花は星型、花の時には満天の星空だろう。
“星月夜”は鎌倉の枕言葉、まさかイワタバコが縁ではないだろうが、
鎌倉の星空はイワタバコをちりばめたように綺麗だったのだろうか。
若い鎌倉武士は満天のイワタバコ星空の鎌倉海岸を雄叫びして、
遠駆けしかもしれない。能「小督」の源仲国のように。
仲国は願い満願「勇める駒にゆらりとうち乗り」
名月に鞭を上げ嬉々と都に帰ったのだ。

小督は高倉天皇に愛された女房。高倉天皇妃徳子は平清盛の娘だった。
焼き餅の清盛に狙われた小督は嵯峨野に身を隠す。天皇の嘆きは限りなく
源仲国に行方を探させる。
仲国は牡鹿鳴く嵯峨野を目指し名月に鞭を上げ、天皇に賜った名馬を急がせる。
牡鹿は牝鹿を求めて鳴く。
牡鹿の声が仲国には天皇の悲しみの声に聞こえたのかもしれない。
小督は琴の名手だった。折しも八月十五夜、小督は琴を弾く。
小督の琴の音を聞き知っていた仲国は、琴の音で小督の住家を探しあてる。
「峰の嵐か松風かそれかあらぬか、訊ねる人の琴の音か、楽は何ぞと聞きたれば
夫を想ひて恋ふる名の想夫恋なるぞ嬉しき」
「駒ノ段」といい、誰でも知っている黒田節にも歌われる名場面。
天皇との再会を約した、小督の返書を貰って仲国、喜びの酒宴で「男舞」を颯爽と舞う。

高倉天皇は中宮に仕える女房の使用人だった少女を愛した。
人々は少女を葵前と呼んだ。事が公になり天皇は天皇としての矜持を重んじ、
葵前を遠ざけたが想いは募るばかりだった。
宮中を出て我が家に帰った葵前は病を得て死ぬ。
天皇の葵前へ想いはますます募り、打ち沈むばかりであった。
中宮徳子は天皇を慰めようと女房の小督を差し上げた。
小督は宮中一の美女、そのうえ琴の名手であった、などなどと平家物語にあるそうだ。

中宮徳子の父は平清盛。権勢を笠に悪行の限りを尽くした人といわれる。
母は二位尼、平時子。壇ノ浦で安徳天皇を抱いて入水した気丈な人。
この二人の間に生まれた徳子、我が夫に女を奉る程の優しい人であった
とは魔訶不思議。
平家物語の総集編とも云われる灌頂巻で徳子の人となりが語られる。
平家琵琶の大秘曲だったそうだ。能「小原御幸」は灌頂巻を語る名曲。

小督-1
「名月に鞭を上げて駒を早ね急がん」
御下賜の名馬に鞭を上げ、颯爽と小督の探索に向かう仲国

能「小督」の解説はちら</strong>
「大原御幸」の詳しい解説はこちら

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