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08.04
Sat
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奥多摩湖 2018年7月12日写す。以下同じ

奥多摩湖は東京と山梨県にまたがるダム湖。
小河内村が湖底に沈んでいる。東京都民の水瓶。

多摩川源流周辺に特別の花が咲くわけではない。
花は咲く場所によって趣が変わり、感慨一入になることが多い。
その期待を一入に色々な所の花を見に行く。
感慨一入のビックリ仰天の”事件”に遭遇した。
源流近くと思われる柳沢峠で話を聞いた。
年配夫婦の車に鹿がぶっつかったと云うのだ。車がへこんでいた。
ご主人はへこんだ車をしきりに撫でまわし、
奥さんは鹿の安否をしきりに心配していた。
こちらは超用心深い鹿が車にぶっつかったことをしきりに不審した。

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ヤマユリ(山百合) ユリ科

落石防止の頑丈な金網をくぐり抜けて咲いていた。
日本だけにある花。世界に自慢の花。
どこの國だか忘れたが外国の万博で絶賛、外国からの注文が殺到して、
日本の山からヤマユリが消えかかったという。
即座に採集禁止とはならなかったと云うから可なり前の話だろう。
赤褐色の斑点はアバタもエクボなどではない、チャームポイント。
他にも人を引き付ける強烈な魅力を持っている。
その一、香り。近くに活けるとむせ返る。程よい所に活ければ香りにうっとり。
その2、花粉。衣服に着いたら消えない。美しい人との尽きせぬ契りと思えばよい。

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ノリウツギ(糊空木) ユキノシタ科

源流近くに花盛りだった。
岩手を訪ねた時、海がちらほら見える道の両側に花盛りだった。
東日本大震災で津波にやられたかもしれない。津波は遠慮会釈なしだから。
花は山アジサイに似ている。アジサイはオワン型、ノリウツギはトウモロコシ型。
昔、皮から糊をつくったそうだ。茎の真ん中に綿のようなものが詰まっている。
竹の枝で突っつくと取れて空洞になる。だから糊空木だそうだ。

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イワガラミ(岩絡)ユキノシタ科

変わった花。まるで白い葉っぱのようだと思っていたら装飾花と云うのだそうだ。
山アジサイの仲間だそうだが山アジサイの装飾花は四枚の花の形をしている。
本物の花は小さくてきれいとは云い難い。
秋の黄葉がきれい。
委細かまわず大木にしっかり絡みついている格好はまるで獲物を捕らえた蛇。
能「葛城」の葛城明神は役行者の命に背き蔦、葛で縛られた。
葛はイワガラミだったかも知れない。
役行者は修験道の祖、人間だが法力で空を飛んだという。
今も法力の修得を目指して修行に励んでいる修験者がいるらしい。

役行者は修行場までの道が遠いと近道の岩橋を架けよと葛城明神に命ずる。
葛城明神は醜い顔だった。昼間は恥ずかしいと工事は夜だけ、納期に間に合わず
怒った役行者に蔦鬘で縛られ岩穴に閉じ込められる。
昔は神と人との距離が短かかった。
人間でも修行次第で神に近い存在となったと云うのだろうか。

雪に閉じ込められ行方を見失った修行僧達が岩陰に避難する。
微かな呼び声が聞こえ、薪を背負い雪の積もった笠を冠った女が現れる。
“呼び掛け”と云う演出。一面の雪景色が現出する。
「肩上の笠には、無影の月を傾け。担頭の柴には不香の花を手折りつつ」
雪の笠は月のように、背負った薪には雪の白い花。
雪にまみれた女の姿を謡う。美しい情景が眼前に浮かび上がる。
クセでは名に負う葛城山の柴を焚き僧達を暖めもてなす。
女の姿に幼い頃の母の姿が彷彿と蘇る。

後場はガラリとかわる。
百八十度の舞台転換に目を奪われる。
葛城山は広々とした雪原になり、葛城明神はこの雪原を高天原に模して
神楽歌を奏させ大和舞を舞う。
壮大な神代の世界がひろがる。
外国の人と違い、今の日本の人は語り継がれた古い日本に興味が薄い。
この後場を見ていると何か郷愁の様なものが沸々と沸き上がる。
古い日本を見、今を生きていく。能の魅力かも知れないと思うのだが。

葛城
「標(しもと)を集め柴を焚き、寒風を防ぐ葛城の、山伏の名にし負う
片しく袖の枕して身を休め給えや」

葛城山の標を焚き僧達をもてなす葛城明神の化身の女 

能「葛城」の詳しい解説はこちら

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