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11.11
Sun


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勝沼の町遠望
2018年10月18日写す。以下同じ

乙女高原は中央高速、勝沼から1時間程。
山の中腹の桃やブドウ畑の中の絶景を走る。
眼下に甲府盆地、遠くに南アルプスが浮かび上がり夢を誘う。
桃の花の時期はまさに桃源郷。

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カワラナデシコ(河原撫子)ナデシコ科

「閻王の口や牡丹を吐かんとす」与謝蕪村の句を咄嗟に思い出した。
どこで誰に教わったか思い出せないが何を表現しているのか、もう一つで
気になっていた。このナデシコのすさまじい形相に出会い自己流に納得した。
晩秋に近い乙女高原の秋の花は、咲き残りと言うより朽ち残りだった。
ナデシコは淡い紅色だがどうしたことか真っ赤だった。
朽ち行く命の無念を訴えているように見えた。

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ヤマハハコ(山母子) キク科

すでに実になっていた。もともと地味な花で、花だか実だか見分けがつかない。
だが風情がある花だと思う。大げさに云って庭に例えると枯山水。やはり大げさ。
芭蕉やその周辺の俳人が好きそうな花だがヤマハハコの句はあるのだろうか、
聞いたことはないが。

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リュウノウギク(竜脳菊)キク科

唯一、花盛りだった。
日当たりのよい山地に咲く花だという。
崖から茎を精一杯伸ばして、ぶら下がって咲いていた。
何とも云い得ない風情だった。
“崖の坊”生け花宗匠の力作と思わず叫んでしまった。

竜脳とは聞き慣れない言葉。南の国の木から抽出する香料だそうだ。
樟脳に似た香りだという。葉を揉むと微かに香る。
一頃は必需品だった竜脳や樟脳などの香料や防虫剤は縁遠いものになった。
化学合成の製品にとって代わられた。
化学合成品は色々問題も引き起こすようだが時代の趨勢では仕方がないのだろうか。

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ヤマラッキョウ(山辣韭) ネギ科

他の花と同じように朽ち残りの様相だった。
盛りの色は紅色がかったが紫色の花だが、紫がひときわ濃く臨終の色か、哀れを思わせた。
ヤマラッキョウは畑のラッキョウと花も形もよく似ている。
味もいいそうだが可哀そうで食べる勇気がでない。

紫は高貴な色。
日本人の永遠のヒーロー、源義経は八島の戦いに“紫裾濃の著背長”を着て戦った。
紫裾濃は上の方から下に、しだいに濃く紫色に染める技法、著背長は大将が着る鎧
だそうだ。

能「八島」は源義経の武勇を語る能。
前場で八島の浦を訪ねた僧の前に老人姿の義経の亡霊が現れ、
「面白や月海上に浮かんでは波濤夜火に似たり」
「一葉万里の船の道、ただ一帆の風に任す」と述懐する。
勇名を馳せた八島の合戦に思いを回し浦の景色をジッと眺め入る姿がグッと胸に迫る。
八島の能はこの場面だけいいといった友人がいた。
 
老人義経は僧に昔を回顧して
「大将軍の御装束には赤地の錦の直垂に、紫裾濃の御著背長鐙踏ん張り鞍笠に突っ立ち上がり、一院の御使、源氏の大将、検非違使五位の将源義経と名乗し御骨柄」と老いの身に渾身の力を込めて往年の雄姿を語り、息も吐かせず“錣引き”の勇壮を語る。

平家の猛将、景清が源氏方、三保の谷の四朗の兜の錣を掴んで引いた。
景清が引く、三保の谷は逃れよう前に引く。首を保護する鉄か又は皮で作った錣が切れた。
景清は三保の谷の首の力を、三保の谷は景清の腕の力を褒め、互いに笑いながら別れた。
戦争には避けられない理由があるのは昔も今も変わらないだろうが、今の戦争の
ようにただ殺せばいいではなく、昔の戦には武勇を競い合うその中に美があった。

三光尉
三光尉(さんこうじょう)「八島」前シテの使用面。
素朴な老人の顔立ちの中に逞しさをも写していると云われる。

僧の夢の枕に、義経は昔のままの雄姿を現す。
「落花枝に帰らず、破鏡再び照らさず」とは云うが妄執に引かれ再び現れたと
“弓流し”の武勇を語る。

馬上に全軍を指揮する義経、誤って弓を取り落とす。折しもの引き潮に弓は敵船近く
まで流れて行く。義経は馬を泳がせ弓を追う。船の敵兵共は熊手を義経に掛ける。
義経は熊手を切り払い切り払い、弓を拾い上げ元の渚の雄姿に戻る。
ハラハラドキドキで見守っていた側近の兼房、涙を流して諫言する。
「たとい千金を延べたる御弓なりとも御命には代へ給うべきか」
義経「この弓を敵に取られ義経は小兵なりと言われんは無念の次第なるべし
   、、、(弓を)敵に渡さじとて波に引かるる弓取りの名は末代にあらずや、、、
   惜しむは名のため惜しまぬは一命なれば身を捨ててこそ後記に佳名をとどむべき」

平太
戦いに明け暮れ逞しく日焼けした関東武士の相貌。平太は鎌倉時代の武将の名

源平の時代だったら名将であろう今の傑物が“権力争い、お金儲け”に狂奔、
破鏡への道を走るのを見て、あの世の義経は苦笑しているかもしれない、
と現代の足軽(かく云うオレのこと)はヤッカム。

「八島」は盛り沢山の大作。作者は世阿弥だという。世阿弥作の能は「井筒」に
代表されるように、的を絞った分かりい名文の名作が多い。
盛沢山の「八島」や「山姥」は世阿弥の異色作のように思える。

能「八島」の詳しい解説はこちら

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