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04.13
Sat


鞍馬寺の奥から貴船へ下りた。二十数年前は獣道のような頼りない道で
地滑りが数か所あり、下りるのに苦労した思い出がある。
覚悟していたが意外にも、きれいにとは云い難いが一応手入れされていて
かなりの人が歩いていた。中には外国の人もいた。

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ミヤマカタバミ(深山方喰)カタバミ科

純白の花も葉っぱの形も魅力的な花。
この花の名を汚す仲間がある。カタバミと西洋カタバミ。
カタバミは土さえあれば都会の真ん中にも咲く生活力旺盛な花。
黄色い小さなかわいい花を咲かせるが、処かまわず這い廻り鉢にまで
侵入する嫌われ者。
西洋渡来の西洋カタバミは色とりどりの花を咲かせきれい。
魅力的な花ことばに釣られて植えたら大変、みるみる縄張りを広げ
他の花を追い出す。駆除が大変、根に小さな鱗茎を沢山つけ蔓延る。

ミヤマカタバミはこれら嫌われ者とは大違い。
人間嫌いで植えても育たない。
富士山の麓に広がる青木ヶ原樹海に群生していたのを見たことがある。
よほど奥山の静まり返った処が好きな花のようだ。

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キクザキイチゲ(菊咲一華)キンポウゲ科

崖の上に群生があった。葉の形からキクザキイチゲに似ているとは思ったが
寒い地方のやや山深いところに咲く花だと思い込んでいたので信じられなかった。
登って確かめるかどうか崖を見上げてやや思案、未練たっぷりで止めた。
これまで四回ガケから落ちている。二回はひどい怪我だった。
明日は大事な会がある、ケガはまずいと自分に云い聞かせた。
しばらく歩いていたら谷川の斜面に一輪咲いていた。
斜面から落ちても下は浅い川、靴に水が入る程度だろう、崖を諦めた神様からの
ご褒美だろうと手を合わせ、三拝九拝。

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貴船神社奥宮 2019年3月30日写す。以下同じ

貴船神社は縁結びの神様だそうで若いカップルで満員だった。
下手に拝むと、この年で縁が結ばれると困るので(笑)横目で拝みながら素通り、
奥社に向かった。昔は奥社が本社だったそうだ。
流石に奥の宮、参拝の人も少なく何やら神秘的な空気が流れていた。
「もの思へば、沢の蛍も我が身より、あくがれ出る魂かとぞ見る」
平安中期の宮廷歌人、和泉式部の歌だそうだ。失恋の危機に詠んだという。
和泉式部は恋多き女性として知られている。数々の恋愛遍歴の末、藤原保昌と結婚した。
藤原保昌は鬼退治の能「羅生門」にも名が見える豪傑武将だった。
この保昌に式部は振られそうになった。悩んだ末、保昌の愛を取り戻すべく
貴船の巫女に祈ってもらう。巫女は鼓を打ち鳴らし異様な姿に卑猥な動きで
祭壇を廻り式部にも同じようにせよという。
式部は宮廷歌人、自尊心が許さなかった「千早ふる神の見る目も恥ずかしや、
身を思うとて身をや捨つべき」これを見ていた保昌は式部に惚れ直し一生添い遂げた。
何かで読んだ怪しげな記憶。

市井の女の恋は和泉式部のようにはいかない。
夫に捨てられた女を貴船の神は鬼にした。能「鉄輪」

女は貴船の明神に丑の刻詣でして夫への復讐を呪詛する。
社人に神の告げがあった。
頭に鉄輪を乗せ松明を立て火をともし、顔に丹を塗り身には赤い衣を着、
怒る心を持てと。
神のお告げがあるや否やあたりの景色は一変、雨も降りだし雷鳴すさまじく
女の形相は一変、髪は逆立ち顔はゆがみ、立ち上がり笠を投げ捨て幕に駆け込む
姿が凄まじく恐ろしい。

陰陽師、安陪晴明の祈りに、神のお告げの様に恐ろしい鬼となって現れた女、
夫と枕を並べる後妻の髪を掴みしたたかに打ち据え、夫を連れ去ろうとする。
晴明の懸命の祈りに、時節を待ちまたくるだろうと言い残して去る。
市井の女の恥も外聞もかなぐり捨てた嫉妬に的を絞ったすさまじい能。
不思議にも女性には嫌がる人もいるらしいが、何故か男には人気がある曲のようだ。

鉄輪
「髪を手にから巻いて打つやうつのやまの」後妻の髪をつかみ打ち据える鬼女

能「鉄輪」の詳しい解説はこちら

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