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06.09
Sun

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三つ峠(開運山)山頂 R1年5月30日写す。以下同じ

山頂の碑に立てかけてあるのは樅ノ木の枯れ枝、世話になった杖。
三つ峠は河口湖を挟んで富士山と向かい合い、富士山を仰ぐように立つ山。
開運山、御巣鷹山、木無山とピークが三つ並んでいて三つ峠だそうだ。

週末に行く予定だったが天気予報では週末は雨、前日は快晴だという。
急遽予定を変更して早起きして行った。
眺望天下一の富士山を見るのも目的の一つだった。
前世か今世の悪行が祟ったのか快晴の筈の富士山の上に大きな雲、
デンと居座って動かなかった。
予報大外れ、悔しさ憤懣遣る方なしだった。
気象庁を恨んでも仕方がない。気象庁が曇らせた訳ではないから。

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ベニバナハコネウツギ(紅花箱根空木)スイカズラ科

三つ峠登山口の見晴らしのいい石垣の隙間から枝を伸ばし咲いていた。
山は花盛りだろうと期待したが全く咲いていなかった。
この一本だけ。しかも石垣の隙間に遠慮がちに根を張って。
彼女はよそ者なのだろうか。
身内に京都に修行に行って永い者を思いやった。

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オオカメノキ(大亀の木)スイカズラ科

葉っぱが亀の形だから。本名、ムシカリ(虫狩)だそうだ。
葉を好んで食べる虫がいて満足な葉がないからと云うが、
“大亀の木”の名が断然いい。

少年の頃、あだ名が“亀”だった。動作が鈍く咄嗟の出来事にも対応が鈍重だった。
飲兵衛の兄が飲兵衛の友人と喧嘩を始めた。
酒癖の悪い二人の喧嘩は派手だった。
仲裁はそっちのけでニヤニヤしながら見ていた。兄が友達に大怪我をさせてしまった。
駆けつけた父に何故止めなかったと散々叱られた。“亀”では仕方ないか!
父の諦めの言葉が今でも耳に残っている。以来“亀”が呼び名になった。

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シロバナヘビイチゴ(白花蛇苺)バラ科

ヘビイチゴは道ばたや家の周りにも咲いているので誰でも知っていると思う。
黄色い花を咲かせる。真っ赤な実は何だか気味悪い。
昔は毒だから食べるなと聞かされた。
毒はないそうだ。試しにたべてみたが味も素っ気もなく不味い。

シロバナヘビイチゴは深山の花。白い花を咲かせ真っ赤な実はおいしい。
栽培種に最も近いそうだ。
名前からヘビイチゴの近縁と誤解される。名付けた人が恨めしい。
別名モリイチゴ。気の毒がった人が付けたのだろうか。

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エンレイソウ(延齢草)

艶麗草と思い込んでいた。姿が艶麗だから。
ハート型の三枚の葉の真ん中に花を咲かせる姿が仙女を思わせる。

エンレイソウは毒草だそうだ。毒草がどうして延齢?
もしかして延齢の漢方薬の材料かも知れないと思った。
漢方薬は奇想天外の物も薬にするから。
調べてみたが漢方には使わないようだ。
延齢草の不思議な姿をボーッと見ていると不思議の世界に引き込まれ、
齢が延びる気がするからとしよう。

人の最大の望みは長寿。何かににつけて延命を祈る。
延齢草の名付け親は年寄り学者?などと云ったら叱られるかも。
命を延べるには五穀豊穣、天下泰平が必須条件、古くから神仏に祈った。
芸能は祈りから始まったという。元祖は天鈿女命。
天岩戸の前で、上半身裸で踊って岩戸がくれの天照大神をおびき出した。
能の元祖は「翁」神への祈りから始まった。
“とう~とう~たらり、たらりら~、たらりあがりららりどう”と謡う。
奇妙な言葉。意味にいろいろ説があるらしい。
神が憑いた昔の人の神への呼び掛けだろうと意味は詮索しないことにしている。
天下泰平、国土安穏、五穀豊穣を祈る神秘な舞「神楽(かみがく)」が異次元に誘う。

正月、床の間にお爺さんとお婆さんが松の木の下を掃き清めている掛け軸を掛ける。
能「高砂」の一場面。松は“永い”の象徴。泰平の世が永く続き、人の齢も永くと。
老夫婦が掃く松は高砂の松という名物の松。阿蘇の神主が高砂の松を訪ねる。
老夫婦が神主に松の謂れを語る。
盆栽だけが取り柄の松と思っていた目がカッと開ける。
お爺さんは住吉の人、お婆さんは高砂の人だという。
驚いた神主“どうして夫婦なのに別々に住んでるの?”
お婆さん“山川万里を隔つれども、互いに通う心遣いの妹背の道は遠からず”
成程!それで結婚式で能「高砂」の一節が謡われるのかと納得。

お爺さんは住吉の明神、お婆さんは高砂の明神の化身だった。
お爺さんは神主に住吉で待っていると言い残し漁師の小舟に乗って沖に消える。
神主は所の人の新造船を借り住吉目指し船出する。
“高砂や、この浦船に帆を上げて”
新造船に真っ白の帆、希望の風をはらませて船出する。
結婚式で二人を祝福してこの一節を謡う。
これほどの祝福の歌があるだろうか。

若さ溌剌の姿を現わした住吉明神、神主に颯爽と「神舞(かみまい)」を舞って見せる。
「神舞」は急テンポの舞。今時の若者の踊りの上を行く。

高砂2
「掻けども落ち葉の尽きせぬは、誠なりけり松の葉の、散り失せずして色はなほ
征木の葛長き世の」
高砂の松の木の下を掃き清める老人

能「高砂」の詳しい解説はこちら
「翁」はこちら

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