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08.11
Sun
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御嶽神社楼門 令和元年8月1日写す以下同じ

御岳山は東京の西の奥、奥多摩にある山。山頂近くに御嶽神社がある。
新宿から中央線、青梅線で一時間半くらい。
思い付きで急きょ登った。そろそろレンゲショウマが咲く頃だと気が付いたので。

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レンゲショウマ(蓮華升麻) キンポウゲ科 

ビー玉のような丸いつぼみが開けて“おちょこ”のような花が開く。
ショウマと名の付く花は小さな花が集まって穂状に咲くのにこの花だけが、
例外でおちょこ型に咲く変わったお嬢様。
変わっているから珍らしがられるのだろうか。
御岳山に可成りの群落があり大々的にキャンペーン中だった。
自生は福島から奈良あたりまで、日本特産だそうだ。
今年は気候の変調の所為か開花が遅くあっちに一輪こっちに一輪といった具合だった。

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七代の滝

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タマガワホトトギス(玉川時鳥)ユリ科

御岳山頂から七代の滝まで急峻な山道を下りなければならない。
下りてまた登る、キツイな、しんどいナと思いつつ下りた。
瀧が目的ではなく滝の岩壁に咲くタマガワホトトギスを期待して。
予想通り咲いていた。ホトトギスには種類が多い。
昔、身分の高い女性を上臈と云った。上臈の名を貰った上品なホトトギスが数種ある。
神奈川県の丹沢の沢にサガミジョウロウホトトギスが咲くと読んだり聞いたりしていた。
一昨年の九月、滝が五つある本沢に登った。日の当たらない薄暗い岩壁に神秘の微笑みを湛えて咲くサガミジョウロウホトトギス様を拝みに。
二十年程前、沢登りのベテランと登ったことがあり経験済みだと浅はかにも単独行。
登る人が激減したそうで滝のルートは荒れ放題。危険な場所の鎖もザイルもお粗末。
恐ろしく上臈様どころではなかった。
恐怖に見落としたのかも知れないが拝顔の栄に浴することはできなかった。

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綾広の滝

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イワタバコ(岩煙草)イワタバコ科

先月中頃裏高尾では、まだつぼみが固かった。
綾広の滝に期待通りに咲いていた。
イワタバコの名は葉がタバコの葉に似ているからだそうだ。
花も葉も一風変わっていて気に入っているが、名が気に入らない。

三十数年前にタバコを止めた。煙草を吸っている人を見ると気持ちが複雑になる。
止める苦しみの記憶が脳の芯にこびりついているからだろう。
止めて数十年経った今でも道端に捨ててある空き箱を見てもドキリとする。
だがイワタバコは見つけてもドキリの質が違い心が躍りのドキリ。
瑞々しく美味しそうだが、猛烈に苦い。好きな人もいるらしい。
岩ジシャとも云いうくらいだから昔の人は食べたのだろう。胃の薬だという。
苦いものは何でも胃の薬だからと嫌味を云ってしまう。

昔は草や木、動物や鉱物を吟味して薬にした。漢方薬がそれだ。
水を薬にした奇特な少年がいた。
古代中国の王、周の穆王の侍童であった慈童は王の枕を誤って跨ぎ山奥に流された。
可哀想に思った穆王は枕に経文を書き慈童に持たせた。
山奥で慈童は穆王の経文を菊の葉に書きつけ、葉に置いた露の滴りを飲んで七百年の
齢を保った。長寿は昔から人間最大の望み。七百年を経ても少年であった慈童を描いた
能「枕慈童」は観る人の羨望と己にも訪れるかも知れない長寿の期待を抱かせ
誰もが抱く苦しみ悲しみなど吹っ飛ばし楽しませる。

慈童が流されたと云うテッ県山の麓に薬の水が涌くという。
真偽を確かめよとの宣旨を受けた臣下がテッ県山に分け入る。
髪ぼうぼうの少年を見つけた臣下「虎や狼、狐の住む所に人間など居る筈がない、
前はもしかして化け物か?」
慈童「このような所に来る貴方こそ化け物でしょう」と応じ穆王の枕を見せる。
臣下は魏の文帝の臣下で慈童は周の世の人、その間七百年が過ぎていた。
七百歳の少年に臣下はビックリ。
以上の前置きが淡々と清々しく語られ羨望感がじわじわと湧く。

慈童は楽しげに「楽」を舞い、続いて菊の葉から滴り落ちる酒に酔い己の幸せを舞う。
舞台の正面先に菊を挿した一畳台は花畑に、蓬髪の少年は中国の扇、団扇で舞い、
異国情緒がただよう。深山の奥で繰り広げられる神秘の世界を満喫、エンタメ至上の曲。

枕児童・修01
「七百年を保ちぬるも、この御枕の故なれば」と穆王拝領の枕を奉げ持つ慈童

能「枕慈童」の詳しい解説はこちら

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