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08.17
Sat

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大岳山々頂

大岳山は奥多摩の名峰といわれ二百名山、花の百名山とガイドブックにある。
御岳山から七代の滝_ロックガーデン_綾広の滝_大岳山_奥多摩駅、九時間半
歩いた。思い付きだったので家を出るのが遅かった。
大岳山下の小屋の手前で老婦人二人に出会った。一人は可成りの年配で足元が
覚束なく見えた。危険な岩峰に登るのだから若い時からの登山達者なのだろう。
鍛錬という魔物に脱帽!
奥多摩駅まで行くと云ったら大岳山から四時間半かかる、やめた方がいいという。
数十年前同じコースを歩いたことがあった。それほど遠かった記憶はなかった。
引き返すのも面倒と予定通りに歩く事にした。大岳山頂で既に三時だった。
とっくに下山を終えた時刻、ヤバイなと脳裏をかすめた。その後は語るも涕。
両足のマメが潰れバンドエイドを貼り替える度に顔をしかめる日々が続いた。

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ヤマホタルブクロ(山蛍袋)キキョウ科

山頂にひっそり咲いていた。平地のホタルブクロはとっくに終わり
“影も形も御座なく候”なのに置いてきぼりのようで寂しげだった。
子供達がチョウチン形の花に蛍を閉じ込めて遊んだというが蛍の時期も過ぎ、
危険なこの山に登る子供なんぞいる筈ない。寂しがっても詮無いよと慰めてやった。

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ソバナ(岨菜)キッキョウ科

俗世に縁のない山奥に咲く花にふさわしく清澄な花色。
アクがなく若芽から、かなり成長しても美味しい。
山に行くと山菜が気になる。山菜は食べ過ぎるとお腹をこわす。
自然育ちだから中身が濃いからだろう。人が栽培する野菜は畑で
過保護に育ち、成分が半減するから食べ過ぎても平気なのかも。
養殖の魚が不味いのと同じ理屈なのだろう。
野草の中には毒草がかなりある。たいがいは食べられそうにもない姿だし
食べてもお腹をこわす程度だが、中には美味そうに見えて命にかかわる猛毒草もある。
トリカブト、ドクゼリ、ハシリドコロ、など。珍しくはなく、よく目にする毒草。
猛毒と聞くと興味が湧き一度見たら目に焼き付くからすぐ覚えられる。

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ヤマアジサイ(山紫陽花)ユキノシタ科

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タマアジサイ(玉紫陽花)

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ヤハズアジサイ(矢筈紫陽花)

アジサイ三種。
沢沿いに咲いていた。場所によって形も色も色々だった。
垣根や公園などに植えている交配種を見慣れているので自然のものは珍しかった。

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カエル 

薄暗い山道に突如現れた。ギョ!動物が苦手には気味悪さ99、9%。
足早に通り過ぎようと思ったが、待てよ?カエルは替えの姿かも知れないゾ
何かを教えようと現れたのかも知れないぞと引き返えした。
近寄り顔を近づけても逃げない、ノドをグニャグニャと動かすだけ。
きっと何かを伝えているのかも知れない。感知する霊力ゼロの身が恨めしかった( ´艸`)
薄暗い山道、気味悪いカエル、存在感薄い一人の人間、大袈裟だが能「山姥」
を思い出した。

都の曲舞の名手“百魔山姥”と呼ばれた遊君は亡母の追善のため善光寺参りの途中、
北アルプスの麓の新潟県上路の深山で本物の山姥に出合った。
大岳山の山道のカエルとは比較にならない恐ろしい姿が語られる。
遊君は都で“山姥の曲舞”を謡い舞って名を上げていた。
本物の山姥は遊君に、都人にもて囃されるのは山姥の曲舞故であろう、
それなのに少しも心に掛けてくれないと恨み言を云い、私のために夜もすがら謡え、
再び現れて移り舞を舞うであろうと言い残し忽然と消え失せる。
舞など全くない前場だが深山の妖気がじわじわと襲い身震いまで出る。

遊君はあまりの恐ろしさに震えながら命じられたまま、山姥の曲舞を謡う。
「そもそも山姥は、生所も知らず宿もなく、ただ雲水を便りにて至らぬ山の奥もなし」
と謡うから山姥は山の精か山の妖気が凝り固まって形を得たものかも知れない、
本当にあった“事件”かも知れないぞと気味悪いカエルを見て実感した。
遊君の前に現れた山姥の姿が凄まじく恐ろしい。葉っぱを付けた杖を突いている。
そこいらに生えている木の枝をへし折って杖にしたのだ。霊力の象徴に見える。
山姥は仏教哲学を織り交ぜ山姥の存在について遊君が謡う“山姥の曲舞”を舞う。
こう語る者には内容が難解で半ばチンプンカンプン。浅学故だけではない、
精神文化の退化途上にある現代人の一人だからだと自らを慰めている。

山姥
「山また山、いずれの工か青巌の形を削りなせる」遊君の前に現れた山姥

能「山姥」の詳しい解説はこちら


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