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09.21
Sat

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八島ケ原湿原 令和元年9月5日写す。以下同じ

長野県のほぼ中央、霧ケ峰高原にある湿地。
車なら中央高速、諏訪から約一時間くらい。ほぼ毎年、花を見に行く。
春夏秋(冬?)、折々の花が咲く。
冬は雪や氷の花が咲くだろうが行ったことがない。

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アザミの歌、歌碑
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アザミ(薊)

18才で戦場から復員、八島ケ原湿原の薊に恋人を偲んで作った詩だという。
二次大戦の終戦後、間もなくNHK ラジオ歌謡で歌われたそうだ。
戦後、絶望に荒んだ人々の心に染み入ったのだろう永く歌われた。
二次大戦で国は焦土とり、恐ろしい原爆で息の根を止められた。
人々を絶望の淵から奮い立たせるかのように歌や小説が作られた。
復興は驚異的だった。
住家を焼かれ、原爆を落とされ、数知れぬ命を奪われても、
事実は語るが戦勝国に恨みを言う人は少ない。

その戦争の記憶も遥か彼方だが不思議にも損害賠償を要求する国がある。
国家間で解決済の案件だと云う。政権が変わる度に国家間の条約であっても
反故にする国らしい。
日本の国民は過去とはきっぱりと縁を切り将来を見つめ己の力で再建に奮起した。
伝統の精神文化が支えた。
百年前に近い問題を引きずる國、日本への恨み引きずる國、
先進国入りは覚束ないかもしれない。

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コオニユリ(小鬼百合)ユリ科

鹿よけの金網の向うに咲いていた。シカは仕方ない奴だ。
きれいな花でもお構いなく食べてしまう。猟師がいなくなったので鹿や猪は蔓延り
貴重な花でも分別なく食べ、悪行の限りを尽くす。人はせいぜい防御の網を張る程度。

きれいな花なのに鬼の百合とは変。
今時、鬼がいるなどと信じる人はいないと思うが郷土芸能など鬼の芸は今でも盛ん。
昔は鬼は実在と信じていたのだろう、詩歌、物語に登場する。
鬼の成り立ちは色々らしい。能の「葵上」は嫉妬が嵩じて鬼になった。
鬼になったのは高貴な女性、皇太子妃であった六条御息所。
皇太子の死後、光源氏に愛される。
源氏の正妻、葵上に恥辱を受け嫉妬も重なり鬼となって葵上を襲う。
高貴な女性が下賤な女の所業である嫉妬の上の後妻打ちなど、はしたない所業と
抑えに抑えるが睡眠のうちに魂は生霊となり身体から抜け出し度々葵上を襲う。
生霊の面は眼球が金の泥眼、恨みの眼が恐ろしい。
生霊となった所以をとくとくと語り恨みの恐ろしい眼が深い悲しみの眼となる。

鬼の百合とは失礼なとコオニユリたちは云うだろう。
同感、名付けた謂れは聞きたくもない。
小鬼百合は小さい鬼百合の意、根は小さいが鬼百合の根は大きく美味いそうだ。

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シモツケソウ(下野草)バラ科

ピンクの色合いが鮮やかで華やか。
群生の前でワアきれいと叫びスマホでパチリ、の光景を何度も目撃した。
小さな木のようだが草本だそうだ。下野、栃木県に多いからシモツケ草
だと云う。栃木県の山を代表する那須岳、男体山では見た記憶がない。

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サラシナショウマ(更科升麻)キンポウゲ科

茹でて水に晒して食べるので付いた名だそうだがホントかな?
よほどの食いしん坊が名付け親なのだろうか、
よほどアクが強いのだろうか、などと勘ぐってしまう。
花は白狐の尻尾、白い狐が日本にいるかどうか知らないが。
群生を見ていると白狐の乱舞の様。風が吹けば猶更。

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フシグロセンノウ(節黒仙翁)ナデシコ科

他の花には見られないような独特の色合いが目を引く。
登山道の藪などで出会うと嬉しくなる。
古名を逢坂草と云うそうだから昔から親しまれた花だったのだろうか。
逢坂山に多いから逢坂草というと古い図鑑にあった。
逢坂山に沢山咲いているかどうか行った事がないので知らない。

逢坂山は京都の東にある山で昔、関所があり交通の要衝だったそうだ。
「これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関」
百人一首にある盲目の歌人、蝉丸の歌だそうだ。
都に程近いこの山で去る人、帰る人、知っている人、知らない人を
盲目の心の眼で見送り迎えたのだろう。
蝉丸は琵琶の達人で逢坂山に住み、行き来の人に琵琶を聞かせ生業に
していたという。
蝉丸の身の上については色々な言い伝えがあるらしい。
能「蝉丸」では醍醐天皇の皇子とする。能「蝉丸」は盲目の蝉丸と
狂人の姉宮、逆髪姉弟の悲惨な姿を描く。

「蝉丸」前半では勅命によって逢坂山に捨てられる蝉丸を描く。
廷臣、清貫が我が君は中国の聖王、堯、舜以来の聖君でありながら
我が子を山野に捨てさせるとはと嘆く。
盲目の身となったのは前世の悪行の所為である。
その償いのため山野に捨て後世を救うための計らいであり、
親としての深い慈悲であるのだと蝉丸。
蝉丸の諦観が清らかに描かれる。
蝉丸はツレだが皇子の品格でシテの位で演ぜられる。

シテは蝉丸の姉宮である逆髪。髪が逆立つ様に生えていて、
諸国を彷徨う生来の狂人として描かれる。
花の都を彷徨い出で、蝉丸の住む逢坂山に差し掛かる。
旅の描写は道行と云い、旅の途次の数々の名所が軽快な謡に
のって語られ舞われ刻々と移り変わる景色が目の辺りに浮かぶ。
蝉丸が奏でる琵琶の音に引かれ二人は再会する。
蝉丸の悲惨な生活を思いやる「クセ」がしっとりと舞われ涙を誘う。
多様な場面で構成され、演劇性に富んだ能。

蝉丸
「驚き藁屋の戸を開くれば」月の光も雨も漏る藁屋で再会する逆髪、蝉丸姉弟。

能「蝉丸」の詳しい解説はこちらこちら

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