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10.12
Sat
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北横岳 2019年9月7日写す。以下同じ

八ヶ岳の主峰、赤岳の連山を南八が岳、尾根続きの北、
縞枯れ山や北横岳、蓼科山を北八ヶ岳と呼ぶそうだ。
北横岳の山頂直下には火山岩の広がる平地がある。
麓から100人乗りの巨大なロープウェイがあり
高齢者や体の不自由な人でも高山の雰囲気が楽しめる。
標高、2300ⅿ

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ダケブキ、トリカブトのお花畑

北横岳の麓のスキー場の、急峻な斜面に広がっていた。息を飲む豪華な景色。

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トリカブト(鳥兜)キンポウゲ科
きれいな花にはトゲがある、の諺を思い出させる花。
トゲならまだしもこの花の根には猛毒がある。
ちょっぴりなら強力な精力剤だそうだ。そう古くない昔、もうちょっと精力を
付けたいと欲張って量を増やして命を落とした植物学者がいたそうだ。
深く青い幻想を誘う花を眺め、空想に耽る程度にした方がいいと思う。
ゆめゆめ手出しは禁物、とは知りながら魅力あるもの綺麗なものには本能的に手が出る。
賢帝で知られた唐の玄宗皇帝は息子の嫁だった楊貴妃に手を出して国を傾けた。

玄宗と楊貴妃の恋は悲劇に終わったが、多くの人々に語り継がれた。
百年経て白楽天は長恨歌を作り、玄宗と楊貴妃の愛と悲しみをうたいあげた。
長恨歌は日本の文学に大きな影響を及ぼしたという。
能にも作られた「楊貴妃」美しく情緒たっぷりの名曲。


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ダケブキ(岳蕗)キク科

フキ(蕗)や海岸に咲くツワブキのごく近縁だという。
人の背丈に近く花も大型で真っ黄色。大きな長い花弁が垂れ下り華やか。

近縁の蕗(フキ)の蕾、フキノトウは天ぷらにする時一瞬手が止まる程可愛い
が開花するとお世辞にもきれいとは言えない。
ツワブキの花は色、形ともダケブキの花によく似ていてきれい。
蕗は食用に栽培されている。ツワブキは一般には食べないが南西諸島では
主要な山菜。蕗とは食感が正反対、シットリとコクがある。
ダケブキを食べると聞いたことはない。
毒ではないだろうがイカツクて食べられそうもない。

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コケモモの実(苔桃)ツツジ科

初夏に小さな白い可愛い花を数個固まって咲かせる。
実は甘酸っぱい。小さい液果だが高山のリンゴ。

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クロマメノキの実(黒豆の木)ツツジ科

初夏に寝ぼけた赤みがかったチョウチン型の花を咲かせる。
花色は今一つだが実は実に美味しい。昔、山住みの人達がジャムに作ったそうだ。
今はダメ。環境監視の人に見つかったら大目玉。

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シラタマノキの実(白玉の木)ツツジ科

白いチョウチン型の花が可愛い。実は花だか実だかわからない変てこな形。
味も変わっている。ハッカのような味。
山歩きで疲れた体に、食べるとカッと生気が戻るという人もいる。

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ヤマハハコ(山母子) キク科

山母子は山に咲く母子草。ちょっと高い山から高山まで咲く。
母子草は畠や田んぼ道端に咲く花。
白っぽい茎に黄色い小さな花が拳状に丸く集まって咲く。
丸い花を母と子に見立て、母と子の人形にしたと云われる。
何のための人形か実際に人形として使ったという言い伝えはないらしい。
紙の衣を着せて飾り母と子の息災を神様に祈った、などと想像すると
それほどきれいでもない母子草が可憐に見えてくる。
道端などに咲く黄色のハハコグサは日本人の母子、山に咲く白い山母子は
アメリカ人の母子かナなど冗談も出る程可愛いかも知れない。
世に父と子の物語はごく少ないが母と子の物語は洋の東西を問わず多く
大方の涙をしぼる。子は母の分身、我が身を捨てでも子を守る。

能に四番目、狂い物と称する作品群の中に母と子の物語がある。
狂い物と云うと母と子の能を指すと云うほど親しまれている。
よく知られた曲に「隅田川」「三井寺」がある。
「隅田川」は能に無案内の人でも涙を惜しまない名曲、
「三井寺」は詞章と演出に優れた名曲。

比叡山の山頂直下に建つ延暦寺と尾根続きに建つ三井寺同じ系統の寺ながら
仲が悪かった。
比叡山の僧兵が三井寺に攻め込んだ事件で弁慶は三井寺の鐘を引きずり下ろし
眼下の琵琶湖に蹴っ転がした。その音は百里四方に鳴り響いたという。
鐘は琵琶湖の底の竜宮城に至り、後に彼のムカデ退治で有名な俵藤太秀郷が
竜宮から持って帰った。俵藤太は弁慶より200年近くも前の人、勿論作り話だが
ついつい信じてしまう程、夢の広がる話。この鐘が能「三井寺」の物語の凖主役。

我が子を人さらいに売られた母は清水寺に籠り必死に祈る。
祈り疲れた霊夢に三井寺を教えられる。
「雪ならば幾たび袖を払はまし、花の吹雪と詠じけん、志賀の山越えうち過ぎて」
母は狂気となって三井寺指して狂い上る。
折しも中秋の名月、三井寺では住僧が稚児達を連れて講堂に月見にやって来る。
その中に母の訪ねる子もいる。
三井寺の名鐘が満月の中に響き渡る。母は故郷で子と聞いた鐘の音を思い出し
狂気は更に嵩じ鐘楼に駆け寄り鐘を撞こうとする。
「汝が鐘、撞こうずると申すか、思いもよらぬ事ぞ」と僧。
母は漢詩に作られた故事を引き「かほどの聖人なりしかども、月には乱るる心あり
ましてやつたなき狂女なれば、許し給え」と僧に。
狂女の驚く才気に呆気にとられる僧を尻目に鐘を撞く。
“鐘ノ段”と称し仏説を核にした名文と大きな作り物の鐘楼を支えに狂い舞う。
この曲の核心の見どころ。
母の狂乱は「夢の世の迷いも、はや撞きたりや後夜の鐘に、我も後生の雲晴れて
真如の月の影を眺め居りて明かさん」と静まる。
続いてクセが静かに謡われる。母の狂乱を見た後の見所の人々の昂った心を鎮め、
しみじみと心に沁み渡たらせる。
「山寺の春の夕べを来て見れば、入相の鐘に花や散るらん(和漢朗詠集)」
に始まり、想う二人の逢瀬も時過ぎたとばかり響く鐘の音。老いの身を夜半の
寝覚めの物思に涙し聞こえ来る鐘など、鐘の音の情緒を謡う。
更に琵琶湖の夜景を、闇に浮かぶ漁火や客船のほのかな灯りを歌った漢詩を
引き謡う。秀逸な詞章と韻律がグッと万感を誘う。

三井寺
「まず初夜の鐘を撞く時は、諸行無常と響くなり」三井寺の名鐘を撞き舞い狂う母

能「楊貴妃」の詳しい解説はこちら「三井寺」はこちら「隅田川」はこちら


東京金剛会例会のご案内

日時 令和元年11月16日(土)午後1時半開演
会場 国立能楽堂 渋谷区千駄ヶ谷4-18-1 ☎03-3423-1331

演目
能  自然居士(じねんこじ)
    人買いに連れ去られた幼子を、命を懸けて救う熱血宗教家の物語。
    数々の舞を見せる芸尽くしの能
狂言 酢薑(すはじかみ)
    秀句(掛詞、縁語、語呂合わせを使った洒落の句)が面白い。
    今時の“お笑い”には無い高級な笑い。
能  黒塚(くろづか)
    安達ケ原の一軒家に宿を借りた僧一行。情け深い女主は糸繰車を繰りつつ人の世の苦しみ、
    優雅な糸繰唄唄う。女は僧一行を暖めようと裏山に薪を取りに行くと云い閨を見るなと念を押す。
    閨に屍累々、女は鬼だった。約束を破られた女は鬼の正体を現し僧一行に襲いかかる。

連絡先  東京金剛会事務局 山田純夫
武蔵野市境南町 5-3-17 ☎0422-32-2796
   


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